エピローグ

 ぼくは毎日学校に行くとき、七時三十五分発の電車に乗る。

 始発の駅でいつもの席に座った。

 電車が動き出して、二つ目の駅に着いた。

 ボーイッシュでダークグレーのブレザー、深紅のネクタイをした高校生が乗ってきた。

 この辺でも有名な進学校で、去年まで女子校の学校だった。

「雄樹! おはよう」

「おはよう、優樹。今日さ~、英語の小テストだよ。こっちは」

「同じだ~。ぼくもだよ」

 隣に優樹が座る。

 会話はぼくが通う高校の最寄り駅に着くまでの三十分。

 会話は何気ない日常のことや、互いに先生のグチも話したりしている。

 いまでは三十分では足りないくらいだ。

「雄樹。そろそろ到着するね」

「うん、ありがとう。」

 あのとき、一年前の春に優樹の定期を拾わなければ、こんな出会いはなかったと思う。

 ある言葉をなかなか言えないでいた。

 恥ずかしくて言えなかったことがあった。









 ――いつもの君とこれからも過ごしたい。

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