いつもの君と
須川 庚
プロローグ
ぼくは毎日学校に行くとき、七時三十五分発の電車に乗る。
始発の駅だからか、ほぼ毎日確実に席に座れる。
スマホをいじっているとその電車が動き出した。
ボーイッシュで、ダークグレーのブレザーに深紅のネクタイの制服はこの辺でも有名な進学校のものだった。
「おはよう。
「あ、おはよう。
ぼくと同じ名前の読み方で一文字違いの優樹は他の高校に通っている。
よく同じ時間帯の電車に乗るため、少しずつだけど話すようになった間柄だ。
高校一年生の春に、ぼくが優樹の定期券を拾ったことからがきっかけだ。
「そういえば、雄樹はテストだっけ?」
「そう。今日なんだよね」
お互い聞こえるくらいの大きさで、話をするのが暗黙のルールみたいになっている。
そんな彼女と一緒に話していると、不思議と同性の同級生と会話をしているように思える。
でも、片想いしてることは、言えないんだ。
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