感想読んだわ
今日も部活の時間になったので部室に向かう。
昨日あんなことがあったけどルナは本当に来るのかな?
まぁ来なかったら仕方ないよな。
強制は出来ない、他の部活入るのも彼女の自由だ。
それでもルナみたいな面白いもの書く人と小説の意見交わしてみたかったなぁって思うんだよね。
そして部室に到着する。
扉を開けて中に入るとすでにルナが椅子に座って待っていた。
特に何もせず扉の方を見ていたからすぐにこちらに気づいていた。
「遅いわよ。待ちくたびれたじゃない」
第一声がそれですか。
クラスの方では何もせずすぐ教室出てこっち来たからそんな待たせてないと思うけど。
「悪かった、そんな早く来てるとは思わなかった」
「まぁいいわ。来たならさっさと部活の説明しなさいよ」
いちいち言葉が強いなぁ。
その説明も昨日あなたがさっさと帰ったから出来てないんですよ。
それで何もせず待ってたのか。
意外だな、勝手にやっててもおかしくないはず。
「このノーパソは部費で買ったやつだから各々勝手に使っていい」
この部室は学校でよくある横長の折りたたみテーブルがいくつか置かれておりそのテーブルの上にノーパソが並んでいる。
「……」
「……」
何故か沈黙が発生した。
ちゃんと説明したんだけど。
聞かれたからしたのに興味ないってか。
もういい、俺は執筆する。
そう考え俺も席についてパソコンを起動する。
それに対してルナは驚きの声を上げた。
「え、それだけ!?」
「それだけってなんだよ。パソコンで小説書いたり読んだりするだけだろ?」
「そうだけど、なんか活動方針みたいなのはないの?」
「……そうだなぁ、読みあって意見交換するくらいか?」
「なんで疑問形なのよ」
「方針てほどでもないからじゃないか? 去年までは自然と読み合いしてたからな」
去年は俺の作品どうだ面白いだろって言う先輩がいたからなぁ。
その人のとか読んでたら自然と読み合いになってた。
そこから感想言い合ってたんだよな。
懐かしい、今年はどうなるかな。
「そ、じゃあ勝手にやらせてもらうわ」
そう言いパソコンを起動する。
そこからはしばらく静かな時間が過ぎていく。
カタカタカタッターンというキーボードを叩く音はなってるけど。
にしてもさっきからちらちらルナの視線を感じる。
そんなことされてると執筆に集中できない。
「なんか聞きたいことあるのか?」
「え! あ、その……感想読んだわ」
話しかけると慌てたように視線を彷徨わせ最終的に斜め下を見ながら小さめな声で恥ずかしそうに言ってきた。
感想読んだってマジか。
昨日あんな否定的だったのに突然どんな心境の変化があったんだ?
まさか俺の言葉に心打たれて。
そう考えると反抗的な子どもが素直に言うことを聞いてくれたようで嬉しくなった。
そんなことを考えたせいだろうか無意識に手が伸びルナの頭を撫でていた。
「……な、なっ」
ルナは顔を赤くして困惑している。
「何すんのよ! 変態!」
と思ったら突然の罵倒。それも大声で。
なんで? 頭撫でたら女の子って恥ずかしそうに喜ぶんじゃないの?
「ちょっと待って、そんな大きな声出さないで」
「うるさい! 変態! 近づくな!」
また変態って、それそんな大声で叫ばれたら俺が社会的に死ぬんだけど。
ほんとやめて。
どうにかして止めないと。
そう思いルナに近づくと
「……ひっ、襲われる」
そんなことしないから。
まぁその声が大きくなくてよかった。
それまで大声で叫ばれてたら俺はもう社会的に抹殺されていただろう。
危うく生きていけなくなるとこだった。
なんとかしてルナを止めることができた。
「……くっ、殺せ」
なんかめちゃめちゃテンプレなセリフが聞こえるけどどう考えても今言うセリフではないと思う。
「あんたにヤられるくらいなら死んだ方がマシよ」
「別に殺さないしヤらない。お前と仲良くしたいだけだ」
俺も合わせてこの状況で言いそうなセリフを言ってみる。
というかなんでヤるか殺るの話になってんの?
「二点ね。ありきたりだし仲良くしようなんてそんなセリフで今の私がときめいて仲間になると思ってるの? ありえないわね」
えー、なんか採点されてたんですけど。
それであんなテンプレ的なセリフ言ったのか。
おい待て、二点てどういうことだ!
底辺どころ最底辺じゃねぇか!
それより採点のためにこの流れ作ったんだよな。
つまり変態ってのは嘘だよな?
俺は変態じゃないよな?
「あなたの作品つまんないって言われるでしょ」
「……なんでそう思うんだよ」
「そんなのあなたのさっきまでの言動が物語ってるわよ」
さっきまでの言動って俺がおかしいのかよ。
二次元ならお前の方がおかしいと思うけど?
二次元じゃなくても殺せで殺すとはならないだろ。
「というか俺の作品のことは今はいい。感想読んだんだろ? どうだった」
「まだ全部は読めてないけど、そうね、褒められるのは悪くないわ。けど私以上の意見を出してくる人はいないわね。あとはほとんど作品のことを理解せずに貶してくるの、ものすごく腹立つわ」
あー、いるよな。
特にどこが悪いとか言わずに作品の否定だけするやつと伏線とかがわかりづらいって言ってくるやつ。
後者は作者の書き方のせいもあるだろうけどこいつはどっちも腹立ってそうだよな。
「わかるぞ。そういう否定してくるやつほどブックマークしてないんだよな」
ブックマークとはその作品をお気に入りに入れるような行為で簡単に言えば読み続けたい作品にする。
「それはあなたのが面白くないだけでしょ」
せっかく共感してやったのになんで毒吐いてくんの?
俺の作品読んだことないよね?
なんで俺の心折ろうとしてんの?
これから部活で一緒に執筆活動するんだよね?
まぁいい、今回は俺が寛大な心で許してやろう。
俺の心が狭かったらお前なんてもうフルボッコだかんな。
書籍作家さんにそんなことしたら俺ネットで叩かれんのかな?
「俺の作品のことは今いいって言っただろ。感想に返事はするのか? これからも感想もらうのか?」
「自分の作品のことになったら話題そらしてるけど本当につまんないのかしら」
「そういう話は読んでからにしてくれ。今はお前が感想どうするかの話だ」
ルナが多少不機嫌そうにしているがこれ以上俺の心えぐられるのは耐えられるかわからん。
実際俺の作品は面白くないという酷評が多い。
けどもしかしたらルナは俺の作品を読んでファンになるかもしれない。
人によって好みが違うからな、そういうことだってあるだろうと微かな期待を抱く。
「わかったわ。あとであなたの作品読んであげる」
「そうか、面白かったら感想言ってくれ」
「つまらなくても言ってあげるわよ。私はどこが悪いかまでしっかり言ってあげるから感謝しなさいよ」
そういうダメなところまでしっかり言ってくれるのは為になるからいいんだけど、お前絶対限度考えずに俺の心折りに来るだろ。
それで俺の作家生命絶ってファンが泣いたらどうすんだよ。
……ファンいんのかな?
「はいはい。で、お前今後自分の感想どうすんの?」
「……返信は面倒だからしないけれど読むくらいならしてあげるわよ。作品貶す発言は消すわ」
「そっか」
「聞いてきたくせに興味なさそうね」
「いや、読まないって言ったら受け付けないように言おうと思ってたけどちゃんと読むみたいで嬉しいよ」
「……なんであんたが嬉しいのよ」
「だって俺もルナのファンだし」
「……ふん、そんなの当たり前よ」
ルナはファンと言われ恥ずかしいのか頬を朱色に染めそっぽを向いた
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