第3話:真的没問題嗎?(本当に大丈夫?)

 エージェントのお迎えの人は日本語がそこそこ上手かった。

「大瀬戸愛美サンデスネ。私他ノ人待ツカラ、此処デ待っッテ。」

 とりあえず置いていかれた。此処で待てという指示に逆らえなかったが、愛美のその判断は三日間愛美の不安感を煽る結果になる。


 愛美は桃園でやりたいことがあった。まずは両替。成田でするより桃園でした方が手数料的にいい。それに当日に大家さんに家賃を払わないといけなかったためだ。次に携帯のネットワーク確保。SIMフリーを持ってきているため携帯会社のSIMカードを入手したい。だが税関で聞き取るのも必死だった愛美は1人で、しかも中国語で携帯の契約を出来る自信はなかった。エージェントも出国前にそれらは現地の空港で出来ると言っていたため愛美はフリーWiFiで現地に着いたことを報告だけしていた。

 疲れすぎて中国語が耳を抜ける。こんな調子で大丈夫だろうかと少し考え事をしている内に他の留学生も到着したみたいだ。

「迎エガ来テル。行キマショウ!」

「あの…現地の空港で両替とSIMカードは何とかなると聞いたのですが…。」

「ソンナ時間ナイデス。迎エモウ来テル。」

 しょうがない。台北に行ったらなんとかしてもらおうと考えていた愛美の考えは甘かった。当日は台湾の祝日で両替が出来る銀行は閉まっていた。そんな事は知らない愛美は他の留学生と共に車の中にいた。もう1人の留学生は大学時代に1年間大陸に交換留学していたらしい。運転手さんと3人で物凄く盛り上がっているが愛美はそれどころではない。愛美がエージェントを使っているのは安全安心をお金で買うためだ。大学には大陸から留学に来た友達が何人かいる。学校の申し込みとかで困ったら声をかけてとも言われていた。確かに申し込みでは友達の助けを借りれば出来るだろう。だが何かあった時、相談したいと思った時に現地に相談する相手もできる場所も無かった場合困る。半年間の長期留学だ。何が起こるか分からない。現地で1人でなんとか出来る自信もなかった。なのに空港の段階で不安感は増している。早く台北に着いてほしいと不安になっているのを隠すため愛美は外を眺めた。

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