第9話「イノチハタイセツニ」

 「白井しらい、オレはこまを倒したりしないからな」

キングの駒を倒す(フリでも可)はチェスにおいて負を宣言する意思表示の一つで、黒井は自分では負けを認めないと意地を張っているのだ。


「解ったよ黒井君♪」

そう言って白井は黒のクィーンを取る、そして盤上には大半が生き残った白井の白駒しろごまと黒のキングだけが残っていた。


嫌味いやみったらしくクィーンだけ残しやがって」

一応キングとクィーンがあれば相手にチェックメイト(相手キングを自分の手番てばんで取れる状態じょうたい、詰まり勝ち)に持ち込める理論上の可能性があるので負けでは無いのだが…。


何時いつもも言ってるでしょ、将棋と違って失った駒は復活しないんだからしないとねって」

そう言って、白井は右手を前に出し黒井はその手に握手で返した、今日の白井は御機嫌ごきげんらしい…Sっけが爆発している。

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