第10話 店主と猫


 お砂糖を買いに街へ出かけたおばあさん。帰りは牛乳屋さんの店主に荷馬車で家まで送ってもらいます。


 ヒッヒーーーン。


 ガッシャ、ガッシャ。



もうすぐお家へ着きそうです。



「おばあちゃん、もうすぐつくよ」


「ええ、ありがとう。とても早かったわね。歩くのは大変だから。本当にありがとね。」


 おばあさんは何かお礼をしようと。


「良かったら、今に上がって行かないかい?美味しい紅茶とクッキーで一休みしようじゃないか」


と、提案しましたが


「すまないね。俺も日が暮れないうちに帰りたくてね。」


と、店主に断られてしまいます。


「仕方ないね。今度、礼をさせてくれね。」


 おばあさんはニコリと微笑みました。


 家についたおばあさんは、店主に黒猫の話をしました。しかし、話の最中に黒猫は何処かへ行ってしまいます。


「おばあちゃん、猫がいないぞ!」


「あれまあ!どこかしら?」


2人で辺りを探すと畑のレンガの影で一休みしていました。


「あれまあ、あんたは今朝の猫だったのね。ずいぶん遠くまで散歩に出たんだね。ふふふ。」


おばあさんは街にいた猫が朝であった猫だと気づき、店主に説明しました。


「なんだ、そうだったのかい。にしても荷馬車に乗って帰ってくるなんて、賢い猫だね。それじゃあ俺は行くよ。」


 店主は帰っていきました。

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