第35話 初登校
気づけば朝になっていた。
あの後ファナと雑談というか明日から頑張ろうみたいな話をした後、迷いながらも自室に戻ってきてひとまず落胆。
ベッドが2つあったという事実に。(単に忘れてただけだったのだが。)
1人部屋じゃあないのかよ。
問題点はそこだった。
学校に通っていた時代。伸也は仲の良い友達なんていなかった。とは言っても別に人が極端に苦手かといわれるとそうではない。
別に話しかけられればそれ相応に答えるし、なんとか相手の言いたいことの意図をくみ取ってどうにかして話を合わせることもできる。
ただ、長時間、おはようからおやすみまでなんてできなかった。
というより精神力が持たない。よくも知らない興味のない人と話すという、一番体力を使うことをましてや一日中しなきゃいけないなんてなんて地獄なんだ。
というのでどんどん意識が沈下し、必然的?に気付けば過疎化というか単独行動が主となっていた。
さあ問題を戻す。ここの部屋は二人部屋だ。つまり、共同生活が必要である。
終わった。
ーーー
なんて悶々としながら部屋をぐるぐる回ること数十分から一時間。そのくらいの時間がたつともうどうでもいいような気がしてきて、どんとこい!でもできれば一人がいいな。みたいな思考に変わっていった。
ずるずると時間が過ぎ、装備品を棚にしまったり持ち物の整理なんかをしていたらいつの間に暗くなってから時間が経っていた。
そして伸也は手持ち無沙汰になってベットにごろんと寝転ぶ。
今後どうしようとか、明日からどうなるんだろうとかそんなことを考えながら。
気づけば眠りについていた。
『ゴン、ゴン、ゴン』
そんな変な音というか嫌な音というかで目が覚めた。
てっきり同じ部屋のやつがいやがらせとかしてきてるんじゃないか。と飛び起きたが、自分以外部屋には誰もいなかった。
それどころかもう一つのベッドは使われた形跡すらなかった。
それからしばらくしてそれが起床を表す合図だと知った。
井戸で顔を洗って、昨日一度見た、教室へと向かった。
いわば初登校である。
昨日は全くと言っていいほど人がいなかったから教室には自分ひとりなんじゃないかと思ったのだが、そんなことはなく、30人くらい入る教室に20人とかその数に近い人数が着席しているという状態だった。
見知った顔・・・はいなかった。その事実にちょっと落胆した。
ーーー
教師というかギルド職員が入ってきた。
点呼というものがあるわけでもなく、そのままガイダンス的内容が始まろうとしたときに、
「ちょちょちょちょっとまってぇぇええ」
なんて声とともに、知っている声が教室に飛び込んできた。
そう昨日一緒にご飯を食べたファナであった。
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