第17話 トラウマとしがらみ 今回は明るめ?

「ん?どうしたの?私なにかおかしいところある?」


そういうゆんは体はあちこちにアザだらけ、顔は今にも崩れてしまいそうなほどに苦痛な顔をしていたから、顔を簡単には背けることができなかった。


「な、なんで着替えなかったの?」


ひとまず咎める口調にならないよう、できるだけ優しく声をかける。


「だってあなたの声を聞き逃したくなかったから。」

「じゃあそのアザは自分に見られてもよかったの?」

「あなたなら引かない。わたしのもとからいなくならないと思ったから。」


ひとまず服を着させるように促す。ゆんは小さく「ありがと」というとジャージを着始めた。

ーーー

「んで?なんでそんなに体にアザが多いの?」


ジャージを身に着けたゆんは今自分と草原に向かい合うようにして座っている。外の気温は割と高い。十分半そででも過ごしていける気温である。だが目の前に座っているゆんは長そで長ズボンで極力肌を露出させないようにしていた。


「どうしても話さなきゃだめ?」


そう言いながらこてんと首を傾げたゆんはさっきと打って変わって落ち着いた様子。


「いや別に話したくなければいいよ。人に言いたくないような話はだれでもあるし・・・」


まるで自分に言い聞かせてるみたいだなとか心の中で思う。


「でもさ、これから一緒に異世界を暮らす身として、としてこれだけは約束してほしい。」


これは自分にも当てはまる。というより自分はこれを長い間使い続けてきた。

でもこのままだといつまでも変わらないから。そうこの時直感で思ったんだ。


「自分たち2人の時は、作り笑顔をやめよう。最初は真顔でも無理して笑わなくてもいい。でもそのうち2人で笑いあえるような関係を自分は作りたいと思っているんだけどどうだろうか・・・?」


我ながらこんな臭いセリフをよく吐けたものだなんて思いながら、ゆんの顔を見据える。まだ目線を合わせて話はできないけど、ちらちら見ることしかできないけど、今はできるだけ目を合わせないといけない気がした。


「・・・わかった。」


そう答えるゆんは表情をピクリとも動かさない。はなから表情筋がないかのように。


「じゃあこれからよろしくな」


そう言って出した自分の手をゆんは一度見ると


「・・・よろしく」


と短く答える。結局


「じゃあ神様たちのところに行くか?このままだと一生この空間にいそうだし。」


「・・・んわかった」


自分が畳んだ制服をゆんに手渡す。スカートの畳み方がわからなくてちょっと手間取ったんだよな。うん。別に邪な考えを持って畳んでたわけじゃないんだからね!


「どうしたの?」


一人でブンブン頭をふっているのを見かねたのかゆんがそう尋ねてくる。ゆんの制服に対して、悶々としていたなんて言えるはずもなくなんでもないという言葉でごまかす。


「そういえば伸也、あなたのジャージも持ってきたのだけど・・・着る?」


そう発された言葉に驚きが隠せず、それをそのまま口に出してしまう。


「ど、どっからそんなの持ってきたの」

「伸也がお昼に弁当をよく食べてた空き教室から。」


そういわれて納得がいく。その空き教室は自分が見つけたときはほこりをかぶっていたのを伸也が掃除して使えるようにしたものだ。ついでに誰も使わないだろうということで私室かのようにものを置いていた。ていうか誰にもばれてないと思っていたのに・・・

ゆんの手を見れば、どっからか取り出したのか自分のジャージを持っている。


「見てるから・・・早く着替えて」


なんか強い意思的なものを感じた。自分に断る理由がないためジャージを受け取ると制服のボタンをはずし始める。

・・・・・・じーー

・・・視線を感じる。見るとゆんがこっちをじっと見ている。


「ど、どうしたの?着替えずらいんだけど」


その自分の問いに対して、ゆんは、なんで着替えないの?と質問に質問を重ねてくる。


「私はって言ったじゃん。」


自分とゆんの中で大きな認識の乖離があるみたい。さてどうしたものか。


「ここにいるのはいいけど、せめて後ろは向いてて。」


・・・多少抵抗したが後ろを向いてくれた。渡されたジャージを地面に置いて(原っぱだから虫が付かないか不安だけど)制服の上を脱ぎ、ワイシャツを脱ぐ。


「・・・上から着替えるんだね。なるほど」


背後からする声にびっくりして、後ろを振り返る。でもゆんはこちらに背中を向けている。気のせいかと思って、いそいそとジャージを着る。


「終わったよ」

「ん。・・・制服頂戴」


ゆんが手を出している。

畳んでくれるのかと思って、制服の上着を渡す。


「全部。頂戴。」


なんか真顔で言われると、とても怖いんだけど・・・


「ん?早く頂戴。」


なんか殺気を感じる。そのため、急いでズボンとワイシャツを畳むと渡す。危うく殺されるかと思った。

この時渡した制服はもう一生帰ってくることはなかったという。(本人談)

ーーー

今年度はありがとうございました!最近更新頻度が下がったりしてますが来年も頑張っていきたいと思っております。2020年もよいお年で!

年明けてから読んだ人は、あけましておめでとう!今年もよろしく。

新年入って初めの話はまだ異世界じゃないんです。はよ異世界行けやとか思ってる人。もうちょっと待って。自分も読んでて早く異世界行きたいなーとか思うのですが、書き足りないのです!(伏線とか)


最後に・・・よい異世界ライフを

                2019年12月31日 布団でごろごろしながら

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