2人の友情にヒビが入ってます!?青春はビター100%

まだ名前が無い鳥

第1話 2人




これは愛菜と私の友情と恋を天秤に掛けた物語で有る。







キーッ…カシャンッ


「おはよう、愛菜」


「おっはよー!!静奈!!」



2人は学校へ向かい歩き出す


「今日は大輝くんとデート?」


「ううん、大輝は学校終わりにOBと練習試合なんだってさー」


「そうなんだ…せっかく午後休の日なのにね」


「そうなのよー!てかなんで午後休みなんだっけ?」


「学校の施設点検の日って先生が昨日行ってたでしょ」


「あれ??そうだったけ?」


「もう.話聞いて無いんだから…」


「えへへっ」


2人は物心付くころからずっと一緒です。



愛菜には付き合ってもう直ぐ1年の彼氏がいます。


静奈には……。




「おはよ!!!愛菜ちゃん!静奈ちゃん!」



「あっ!!おっはよ〜!!和人」



「おはようございます…」



和人くんが私の大好きな人です。




「なあなあ宿題写させてくれない?彩菜ちゃん」


「え?私がやるわけないじゃん!ちょービックリなんですけどー!(笑)」


「いや、そこ自信持って言うとこじゃ…」


「えーマジかー!なんだ仲間じゃん!」


和人くんも大概、こん感じです。


「あたしいつも静奈に写させてもらってんだよねー!」


「マジかー!いーな!俺の周り馬鹿ばっかでさー(笑)」


「お前がいうなしー(笑)」


「いやいや彩菜ちゃんにも言われたくねーよ(笑)」



 -そうです…お察しの通り………2人の間に入り込むコミュ力は有りません(泣)


すぐ打ち解けてしまう彩菜には尊敬しています。



そして…


「あっ、てかさー?静奈に借りたらいいよ!!私も借りるけどさ!?私、字がめっちゃ汚いし!人に見せるの恥ずかしいんだよね。」


「ちょっ!なに言ってんの!?勝手に決めないでよ!」


「えっ?!ダメ!?」


「ダメじゃないけど…私だって…自信ないし…」



「静奈さん!よかったら俺に貸して欲しい!!頼みます!!」



 -どどどどうしよう…


「いいじゃん!静奈!今日だけ!ね?」


「もちろん、今日だけ!今日だけにしますから!お願いします、静奈さん!」



「わ…かったわよ。いいですよ。そのかわり早く写さないと提出間に合いませんよ。」


「ありがとう!静奈さん。」




 そう。愛菜は明るく元気だけではなく、気さくでいつも私のことを考えてくれる。とても大切な友人だ。いまもそう。彩菜がいなければ挨拶をして終わりだっただろう。




「じゃあ!また、学校で」


 彼はそう言って、少し前を歩く友人を見つけ小走りで去っていく。



「まったね〜!」

 

 彩菜は少し大きめに声をかけ、手を振る。


「ちょっ、静奈!あんたも手を振りなって!」


「えっ、恥ずかしいからっ、いいよ!」


「ほんとにあんたは…もぅっ。」


和人くんはどんどん遠くへ行ってしまう…



「そんなんじゃ…いつまで経っても気付いてなんてもらえないよ」


「気付いてほしいなんて思ってない…」


「またそれ…」


「だって。」


「だって?」


 、、、、、


「もぅいいでしょ。私達も急ぎましょ」


 何も言い返せないまま再び学校へ向かう








 私達はずっと一緒。恋をする相手は違っても。性格が対照的でも。きっとずっと一緒だと思っていた。まさかこんなことになるなんて私達はまだ思いもしない。





 この後に訪れる、思いもしない出来事に、2人の友情に大きなヒビが入ってしまうのだ



 学校の校門前、大きく手を振る男子がいる。


 「あーやーなーー♡おっはー♡」


 彩菜は応えるように胸の前に指で♡の形をを作り「お、は、よッ♡」の台詞と共に口をすぼめる。


 これは日常的に繰り返されている。


 2人はバカップルと呼ばれ、校内でも有名だ。


 「ほんとよくやるよ…先行くよ。」


 私の役目はここまで、と言わんばかりに校内へ向かう。途中、クラスメイトに挨拶を交わしながら生徒玄関に着く。靴を履き替え、校門前を振り返る。彩菜はまだ校門前にいる。ハァ…と1つ溜息をつき、教室に向かう。


 まったく…早くしないと宿題写し終わらないわよ。


 彩菜は中学の頃から宿題を学校でやる。成績があまり良くなく、宿題を自力で終わらせられないのだ。以前は教えてなんとか自力でやらせていたが、最近はサボりがちでほぼ写して終わり。これではいけないと思いつつも習慣化している。


 教室に向かう途中肩をポンッと叩かれ振り返るとそこには和人君がいた。

 

 

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