あまのじゃく

水谷一志

第1話 俺は誰でしょう?

 一

俺は、人と反対のことをするのが好きだ。

人が右を見れば左、左を見れば右を俺は見る。

そんな俺のような存在を人はこう言うのだろう。

「あまのじゃく」と。


―とにかく俺は反対に動く。決して人と同調はしない。

でもそんな俺のような存在、今ならどこにでもいるよ。


しかしそんな俺ではあるが、一応人とのコミュニケーションはとれている。

―まあ一応、「需要がある」というヤツか。

(そういう言い方もひねくれてるな…俺。)

あとそんな俺は男子からも需要があるが、女子の方が需要が高いらしい。

それはなぜなのか?

誰しも「あまのじゃくとして嫌われたくない。」「自分がどう見られているか気になる。」といった感情を持っているのではないのか?

―そんな普通の人間だからこそ、俺のような非人間的存在を求めるのか?


またこうも言えるかもしれない。

「人間には二面性がある。」

俺を必要としてくれる女子たちは、俺を求める時そんな「真逆の自分」を見るのかもしれない。


しかし、「あまのじゃく」とは何なのだろう?

俺は時々こうも思う。

例えば右と左。これは見る人によって異なるものだ。

と言うことは、俺みたいな存在も見る人によっては「普通に存在する」のかもしれない。

そう、俺はふとそんなことも考える。


「今日も俺、キマってるな~!」

「髪型もバッチリ!ま、今日も合コン行くか!」


―何?俺はただのチャラいナルシストだって?

そんなわけねえだろ!

言ったよな?俺はあまのじゃく。

だから俺はナルシストとは【反対側】の存在。

―そのチャラい兄ちゃんが見てる、【鏡】だよ。 (終)

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あまのじゃく 水谷一志 @baker_km

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