あなたの作品が超人気作品になる前に知っておいて欲しいこと

國澤 史

ロイヤルティプログラムについて

「カクヨムロイヤルティプログラム」がついに始まりましたね。

某映像配信コンテンツのように、好きなことをして収入を得られるこのシステムが発表された瞬間から、大きな期待を持った方も多いのではないでしょうか。少なくとも私はモチベーションを取り戻しました。

もしもある程度の収入増額があるのであれば、休日に旅行に出掛け、旅先での体験をこれからの作品に反映させられるかもしれないと夢想してしまいます。

しかし、収入を得るということには必ずついてまわる事柄があります。

それは、税金です。

「カクヨムロイヤルティプログラム」と税金について、私は中学生、高校生に知っておいて貰いたいことがあり、今回筆を取った次第です。


既にバイトをしている高校生ならバイトを始めるにあたって保護者に「103万円以上稼いじゃダメ」と言われた事があると思います。

この103万円がどんな意味を持つのか、まずは簡単に解説したいと思います。

通常、収入が発生すると、その収入に税金が掛けられます。そして1年間働き、年収に応じて翌年に健康保険や住民税というかたちで納税の義務が発生します。

しかし、収入の全てに税金が掛かるわけではなく、「基礎控除」と「給与所得控除」の2つの税金の控除システムがあります。

「基礎控除」には38万円、「給与所得控除」には65万円、それぞれの控除があります。

ピンと来た方も多いのではないでしょうか。

103万とはつまり、この2つの控除額を合わせた金額になります。

この103万円内(扶養内)においては掛かる税金はゼロとなり、保護者が103万と口酸っぱく繰り返すのは税金をゼロで済ませたいという思いの現れなのです。


ここまでの話では口うるさい保護者と同じ主張の解説のようになっていますが、では、もしも103万円以上収入があった場合、どうなるのか、これは各家庭によってケースバイケースですが一例を挙げたいと思います。

お父さんの年収が500万円とすると、あなたが103万円を超える収入があった場合、あなたの扶養控除が外れ、翌年のお父さんの払うべき税金が9万円ほど増加します。

500万の稼ぎがあるなら9万円なんて小さい額と思うかもしれませんが、バイトをしている高校生なら分かるでしょう。もしバイトの時給で9万円を稼ぐとなると、丸々1ヶ月働き続けるか、2ヶ月かけなければ9万という額に届かない、あるいは部活などをしている方はもっと時間をかけなければならない。9万円の負担はそれほどに大きな額と理解してもらえたらと思います。

ちなみに、ここでは中学生、高校生を対象にしていますが、19才以上になって扶養から外れると、金額が9万円から17万円にジャンプアップします。保護者は間違いなくキレます。


「じゃあ、分かったよ。103万までに収めるよ」と思ってくれるようになったところ、大変申し上げにくいのですが、年収103万にも実は税金が発生します。

多くの自治体では、だいたい100万円の年収があると、翌年に住民税が発生します。

この住民税発生の額はお住まいの地域によって規定がありますので、そこは各々調べていただけたらと思います。

「なんだ! 話が違うじゃないか!」と怒りを覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、100万円に掛けられる住民税はそこまで大きな額にはならず、大金を払うことにはなりません。語弊があるかもしれませんが、少額を払って100万円稼ぐ権利を買っているみたいなものです。

ですが、その少額も払いたくないと考える方はお住まいの自治体では何万円まで無課税で稼ぐことができるのか調べ、その範囲内で働くことを推奨します。


ここより主に15才以上、高校生以上に向けて注意点を挙げていきます。

高校生になったらバイトしようと考えている方。あるいは既にバイトなりをして収入がある方。カクヨムロイヤルティが申請から翌々月の振り込みということなので、今年は悩むことはないと思いますが、来年から気を付けていただきたいことがあります。

103万円の範囲内で収めろと上で散々説明していたので、「おや?」と疑問を持った方もいらっしゃることでしょう。

「バイトで稼いでたらロイヤルティの稼ぎって年収に加算されね?」

その通り。年間の稼ぎは合算されて年収となります。

なので、バイトで50万円稼いだ場合、カクヨムロイヤルティの収入は53万円以下に抑えなければなりません。


長々と書き連ねてきましたが、私の伝えたい事はここに集約されます。

「カクヨムロイヤルティ」によって収入があることは大変魅力的です。

しかし、収入を得ることで義務が発生することを知ってほしいのです。

103万円を1円でも超えると税金が発生し、それは逃れようもなく、間違いなく払わなければなりません。

バイト先が楽しいと感じているのであればロイヤルティを受けることでバイト先の過ごす時間は必ず短くなります。

あなたには、目の前の富に目を奪われるのでなく、何を得て、何を失うのか、知った上でロイヤルティを受けるのか、受けないのかを選択してほしいのです。


本当に長々と、しかも説教くさくなってしまい、不快に受け取られた方もいらっしゃることでしょう。

しかし中学生や高校生も利用するコンテンツの説明にしては税金の説明が簡単過ぎると危惧し、私なりに調べて注意喚起をさせていただきました。


知識も無いのに、ざっと調べてまとめたものなので、説明不足や間違いがあると思います。

そこはメッセージ欄で指摘していただき、正しい知識を皆さまで若者たちに伝えていただけたら幸いです。

そして無駄な悩みを抱えてほしくないという、私の思いを汲み取っていただけたらと、そう願います。


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