第8話 目的
「お久しぶりです。」
俺も大人だ。
社交辞令というわけでもないが会話くらいはいくら会いたくないと思った人に対しても出来る。
「やっぱり一流にはなれなかったか?」
「まだそれ覚えてたんですね」
もう何年も前の話で忘れていたと思っていたが畑さんもしっかり覚えていたようだ。
そう言われると俺は何とも答えられないことをわかっていての質問だろう。
「集合しろ~」
畑さんがチームの人達を集めた。
よく見ると知っている顔ばかりだった。
「旭久しぶりだな!!」
「山本、加治、椿、千葉!!」
アンダー代表で一緒にサブでプレーしていた懐かしの面々をみて俺も思わず声をあげてしまった。
みんなで懐かしい雰囲気のまま話していると畑さんが口を開く。
「今回お前らを集めたのは、国体の代表になって試合に出てもらうためだ。」
詳しく話を聞くと、1年後にこの県で国体が開催されるらしく、その監督が畑さんにやったようだ。
ちなみに、畑さんは今この県で全国常連の大学で監督をやっている。
「毎年、畑さんの大学生チームで出てるのに何でなんや?」
関西弁の加治が質問する。多分この時誰もが思ったことだろう。
「大学生だけでは毎年1回戦負けだ。そして、県から許可が出て俺が目をつけたやつに声をかけたってことだ。」
確かに、次の国体となると俺達の年代が主力になる。
「と言っても俺らで勝てるんすか?」
千葉の言うとおりだ。俺達ら就職してハンドボール何てやっていない。逆に、実業団に行った佐瀬達は毎日の様に練習しているのだ。
普通に戦って勝てるイメージがわかない。
「心配するな。一流じゃなくても勝てる方法はある。だからお前らを呼んだんだ。」
この時は、畑さんのいっている意味が全くわからなかった。
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