山道の正体

「皆様、本日はF山ツアーにご参加いただき誠にありがとうございます。これより山頂を目指して登山に参ります。なお、山頂に到達致しましたら、遠くの方から高い音がきこえてくるので、じっくりとご堪能下さい」

 代理で山登りを頼まれた俺。友達がこのツアーに参加できなくなったと言って来て、代わりに参加しろと言われた。そして写真を必ず撮影してくるよう言われた。

「ぜえ、はあ、ぜえ、はあ……坂きっつ」

「皆様、坂が大変きつくなって参りました。あと少しでロープが見えてきますので、それにつかまりながら上るようお願い申し上げます」

 あ、ロープ見えてきた。さすがにつかまるしかない。でも写真一枚も撮れてないわ。まあいいか、事情を話せば済むだろう。

「うんしょ、うんしょ」

 耳をすませば、遠くから音が聞こえる。その音は高い。

 ハーーーーーン…… ハーーーーーン……

「何の音だろう。まったく予想できない。うんしょ、うんしょ」

 なんとかして、俺は山頂の手前まで着いた。

「皆様、ここから火口まではエレベーターで参ります。あまりにも坂がきつく、命綱なしで上るのは大変危険なためです。ご了承ください」

 は? エレベーターとか反則だろ。まあいいか。ごおー。てぃん。着いた。

「はー、火口には透明な水が溜まってるんだなー」

「では皆様、あちらのヘリにお乗りください。F山の全貌を、上空からご覧に入れましょう」

 は?マジかよ。なんやねんヘリコプターて。まあいいか。

 みるみる高度を上げる。高度が上がるごとに、あることに気が付いた。

「皆様、あちらに見えてきました谷は、双丘の谷間と呼ばれております。年に数回、固い棒状の巨大な物体があの谷間をピストン運動する光景は、圧巻です」

 さらに高度を上げる。あ、わかった。これ、おっぱいだ。あの山頂は乳首だったんだ。そして、あのロープは山頂に縛り付けられていた。だからあの高い音は、おっぱいの持ち主の喘ぎ声だったんだ。

 とうとうおっぱいの全貌が露わになった。俺はシャッターを切り続けた。

「ああ、あああ!はやく着陸したい!おっぱいの大地に埋もれたい!」

 バァン!ボカーン!

 ヘリは大破した。そして俺は垂直落下。希望どうり、おっぱいの大地に埋もれることだろう。

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