第2話年下の上司
35歳ともなると、仕事の上司が年下という状況に出くわすこともある。
私の上司は、私が入社した翌日に異動してきた。若くて身長が低くて不愛想な人だ。
パートのみんなは初めのうちこそ彼のぶっきらぼうな物言いに愚痴をこぼしていたが、さすがは子持ちの主婦パート、今ではみんなで彼をフォローしてうまいこと業務を進めている。
私はというと、まだ自分のことで精一杯。仕事も。人生も。せいぜいわからないことを尋ねるか、指示を黙って聞いて言われた通りの仕事をこなすだけ。
今日初めて、あるパートさんから言われた。
「こんなところよりも、もっといいところあっただろうに」
間違いない。
この上司とパートさんたちのささやかな人間模様を目の前にして、本来の目的を見失ってしまった私は、今日も青白い画面の中にもう一つの世界を閉じ込めていく。
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