あの日にまた出会えたら。

花罪

第1話 始まりは雪の降る夜に

高校三年の冬。俺は、寒い夜中受験勉強に飽きて、家を飛び出した。家の外には、真っ白な銀世界と今だ降り積もる小雪があとを絶やすことなく続いてる。

 「寒っ。」

俺は体をさすりながら呟くと外に出て玄関の戸をゆっくりと閉めた。行く宛があるかと言えば皆無で、ただ単に家から出て受験勉強から逃げたかったのかも知れない。いや、そうするほか考えつかなかったのだ。

ずっと宛もなくぶらぶらしていると、気付けばそこは、誰もいない筈の古びた商店街だった。何も着ていないマネキンや落書きだらけのシャッターそれらを見ていると、小さな小さなか細い声で自分と同い年ぐらいの少年が泣いているのを見つけたのだ。これこそこの話の始まりに過ぎないと知りながら…。

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