第84話 洗濯のあれこれ

 先日、「少女剣聖伝」第四章をどうにか締めくくることができました。

 蓋を開けてみれば、あれだけ「きついきつい」言っていた三章よりも遥かに――遥かに難産でした。


 第四章の第一話をアップしたのが2月頭。

 書き終わるまで実に四ヶ月の期間を要しています。

 しかし、それは最終回ではないかと噂されるほどの長尺なストーリーが原因ではなく、ひとえに私自身の怠慢によるもの。


 各話の最終更新日を追いかけてみれば、一ヶ月近く更新が停滞していた時もあります。毎日更新が当たり前のこの時代に、そのような有り様ではエターなったと思われてもおかしくない。週一更新すら満足にこなせない我が身の至らなさに嘆くばかりです。


 そんな遅速執筆であるにもかかわらず、めげずに読み続けていただいている読者様には感謝しかありません。本当にありがとうございます。


 さて、まったく執筆と関係ない話なのですが、我が家の洗濯機が壊れました。

 正確には、まだまだ動くものの、パルセーターの部分から尋常じゃない異音がするようになりました。


 この洗濯機もだいぶ古い。もう十年くらい前でしょうか。私が独り立ちする時に購入したものですが、物件的に屋外に設置するしかなく、雨にも風にも負けず、よく働いてくれたと思います。とはいえ、もうお役御免。定年退職の時期に差し掛かっているのでしょう。


 しかし、とにかく物を使い続けることで有名な私。異音がするくらいで諦めては私ではない。なので、スマホを片手に応急処置を試みました。洗濯機の異音はパルセーター内の異物が原因の可能性があるので、分解してみることに。


 ですが、内部のゴミを取り除いても異音は消えず。やはり、モーター部分の劣化が原因でしょう。さすがにそこは素人では分解できない。泣く泣く、新しいものを購入することになりました。


 ところが、仕事の都合で私の日程が合わず、取り付け日は購入から少し先になってしまいました。それまでは洗濯ができません。さて、どうするか……。


 そうだ。踏み洗いをしてみよう。

 それこそ私がメインで書いているファンタジー世界には洗濯機なんてものはないのだから、アナログな洗濯を体験してみれば執筆に活かせるかもしれない。


 なぜ手洗いではなく、踏み洗いかといえば、昔の衣類に用いられていた麻などの繊維は強靭なので、体重をかける踏み洗いのほうが適していたのだとか。つまり、作中の洗濯風景から、その世界の衣類生産の技術力が分析できるわけですね。


 柔らかい木綿が主流の時代なら手洗い、とか。そもそも石鹸は存在するのか、とか。洗濯事情一つとっても、世界観の奥行きを表現するには便利そうです。


 ちなみにサーガ世界では天然石鹸であるムクロジっぽい植物を使っている描写がありますね。あの世界には、国家賢人というチート技術集団がいますので固形石鹸もあるかもしれませんが、それとは縁が遠い庶民は自然の中で手に入るものを活用している……とか、そんなイメージ。


 そんな益体のないことを考えながら、浴槽にお湯と洗剤を入れ、しばらく浸した後、ひたすら踏む。踏む。踏む。


 これは意外と楽しい。

 スマホで適当に音楽を流しながら、五分ほど踏み続ける。おお、意外といけるじゃないか――


 と思っていたら、これ濯ぎがめっちゃ大変。

 いちいち濯ぎ用にお湯を張るのにも時間が掛かるし、これを三回くらい繰り返さないと洗剤が残ったままだ。


 ……なるほど。桃太郎でおばあさんが川へ洗濯に行く理由がわかった。水源ということもあるでしょうが、自然の水の流れを利用して濯いだ方がはるかに楽だったからでしょう。


 便利な生活に慣れ過ぎていてすっかり忘れていましたが、本来、日常を営むというのはこれほど大変なこと。機械文明の恩恵を受けるなとは言いませんが、感謝の気持ちを忘れてはいけませんね。

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