第76話 副収入のあれこれ
令和二年、四月七日。
新型コロナウイルスの拡大を防止すべく行われた緊急事態宣言により、日常生活における不急不要の外出自粛はもちろんのこと、飲食店や薬局などの生活に必要な店舗を除いて、多くの商業施設の休業要請が行われました。
私の職種はどちらかと言えば最前線側なので、業務自体は停滞していません。
仕事があるということはお給料を頂けるということで、今のところ生活に困窮するような事態にはなっておりませんが、誰も彼もがそうではない。休業要請によって仕事が停滞し、収入面で打撃を被っている人々は多数おられると思います。
私が住んでいる場所も僻地とはいえ、緊急事態宣言の対象地域。
あちらこちらに閉店を余儀なくされる店舗が増え、日が経つごとに町が寂しくなっていくのがわかります。友人が勤めている訪問マッサージ店も、接触による感染防止の観点から営業が著しく縮小。一日の労働時間が半分近く削られることとなりました。
曰く、お金がない。
働かなければお金はもらえないのだから当然ですが、働きたくとも仕事に出られないのだからどうしようもない。コロナウイルスの拡大は我々の生死に関わることなので、仕方のないことだとは理解していても理不尽さを覚えるもの。国からの補償に期待するばかりですが、一抹の不安を覚えるのも事実。
そこで友人と「副収入があるといいよね」という話で盛り上がりました。
安易に副業に就いては、事態が収束した場合、本業に復帰するのに支障が出るかもしれない。空いた時間で何かできないかと考えたところ、その友人はもともと絵描きということもあって、趣味も兼ねてLINEスタンプを作っているそうです。
クリエイターズスタンプなど昨今では珍しくもないですが、いざ友人の描いたものがスタンプショップに並ぶかと思うと、ちょっとわくわくしますね。
別の友人は、収益化を目的としたブログ開設を検討しているそうです。
創作におけるシナリオの構築や技術論的なことを記事にして有料化するらしい。
彼はもともと文章がくそ強い上に、そういったソーシャルネットのカラクリを利用するのも巧いので、私がいろいろ言わなくても成功すると思います。
芸は身を助くとは言いますが、やはり危機的な状況において、何かしら積み重ねた武器という者は役に立つものです。二人の成功を祈るばかり。
……かく言う私はと言えば、彼らのような一芸を持っていない。
素人に比べれば絵も描けますし、ちょっとしたプログラミングもできますが、武器と呼べるほどではありません。
昔から、「何でもそこそこできるけど、専門家に劣る」というのが自他ともに認める私の立ち位置なのです。FFで言えば赤魔道士ですね。どうにも中途半端。
そんな私の唯一の武器と言えるものが文章ですが……それにしたって、この程度だったりするわけで。もう少し、若いうちから本腰入れて勉強しておけばよかったと常々後悔しています。
武器と呼ぶには心許ないですが、それでもあれこれ思案することはできます。
例えば、自費出版などはどうだろう。
これまで自費出版と言えば自腹を切って製本し、即売会で販売するという形式がスタンダードでしたが、現在は電子出版というものもあるようです。
最大のメリットはコストがほぼかからないことでしょう。
製本すれば印刷代だけでもかなりの金額になりますし、販売する場所や期間も限られますし、何より売れなければ在庫の保管場所にも難儀します。
ところが、電子出版だといずれの心配もない。
自らの著作物に金銭的価値を付与し、かつマーケットが現在進行形で存在する時代になったのは物書きとしてはありがたい。初期費用がほぼかからない上に、売れた分がそのまま収益になるのですから副収入として検討する余地はありそうです。
もっとも、出版したからと言って売れるとは限りませんが。
これを機に、友人たちに倣って自分の武器に価値をつけるような勉強をしてもいいかなと思ったり、思わなかったり。
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