第74話 風景描写の資料のあれこれ

 年度末ということで、溜まっている書類業務をこなす傍ら、自動車の定期メンテナンスの時期も重なったりして、休日は多いけどちょっとばたばたしている私。


 この時期の長雨を菜種梅雨などと言ったりしますが、連日の大雨で、せっかく咲きかけた桜の花が散ってしまいそうで残念。週明けにお休みがあるので、花見でもしようかと思っていたのですが。(小説を書けよ、というツッコミは何卒……)


 今はもうやっていないのですが、私は執筆のために一時期、季節の花々や自然の移り変わりを年単位で記録していました。


 例えば、2016年は1月23日から25日にかけて大寒波に見舞われて大雪が降ったとか、2月22日には梅の花が満開になっているだとか、3月7日にはウグイスが発声練習をしているのが聞こえてきた、とか。


 これは描写の練習というより、自分が作品で描いた風景が、実際の季節と統合性が取れているかどうか検証するためのもの。


 例えば、4月の半ばなのに桜の花がまだ咲いていたらおかしい。その時期ならば葉桜だし、毛虫も大量に湧いているはずですから。それなら風景描写に用いるのは藤の花のほうが適している……のではないかなぁとか。


 俳句には季語というものもありますが、何も俳句だけのものじゃない。

 桜=春というのは誰しもイメージできますが、春もそれなりの期間があります。梅が咲いているなら2月下旬、辛夷や木蓮が咲いているなら3月上旬、逆にビワの実が色づいているのなら既に5月の終わり……と言ったように、具体的な日付を書かなくとも、わかるひとにはわかるような季節感の詳細な描写がしたいなと思ったのがきっかけです。


 そのくらいググればいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、実際に自分の足で情報を集めていくと、その時の私の情緒も含めて、独自のデータが集まるものですから。


 植物だけでなく、蝶々やセミ、ツバメ、カミキリムシやクワガタといった動物の出現も記録しています。


 特に職場の軒先にツバメが巣を作っているので、その経過を観察するのは楽しいです。生暖かく雛が巣立つのを見守っていたら、私が休みのうちにカラスによって巣が壊されていて悲しい気持ちになったのを今でも覚えています。まあ、カラスも生きるために襲ったのでしょうから、それを悪しきように捉えてしまうのは、私のエゴというものですが……。


 とはいえ、データがある程度揃ったので数年前に集計を辞めましたが、この資料は今でも小説の執筆に役立っています。そのままではファンタジー世界には使えないので、架空の単語に置き換えたりしていますけどね。……そうでもないか。割とそのまま使っているか。


 カクヨムの諸兄も、そういった自分だけの資料集めとかしているのでしょうか?

 こういうのやっている、みたいなのがあったら教えてほしいものです。

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