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そうして意気消沈しつつ自室に戻れば、何故ピンクは俺に食ってかかったのか分かった。奴は俺の部屋に侵入したらしい。引き出しだの箪笥だのすっかりと荒らされていやがる。生憎ヒラからもらったデータは胸にしまってあるから誰の目にも触れられてはいないが。しかし、一つ疑問なのは、どうして奴は俺が身支度しているのが分かって尚部屋を荒らしたんだ?
俺は自分の胸を触り、まさかと考えた。そんなことはないのだろうが。念の為、何らかの機械が無いのか室内を隈なくスキャンしてから身支度を再開した。それから十二時間後には修理が完了し、トランク二つを抱えて第二ドックへ赴くと燃料タンクが銀色に変わった俺の船と再会を果たした。後で整備士達に多めのチップを渡しておいた。床に彼らがゴロゴロ転がっていたみたいだったからな。
さて、他のメンツとも合流した。青、緑、黄、桃。男。男、女、女で共通点のないメンバーかと思われたが、そんなことはない。こいつら全員、俺に熱い視線を投げかけてる。その目の奥に真っ赤な炎を募らせてな。俺は乗船者に対していつも通りに接することにした。
下手に明るく振舞って一々噛みつかれるのはゴメンだ。
続く
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