八話

毎年ね、命日が来ると…

彼はあの砂漠へ通ってる。


二年も発つと、私も通うようになってたわ。






お姉さん…また来てくれたんだね。






わ…私は別に……






はは…


素直じゃない所は、一番下の妹に似てるよ。






妹の話と、家族の話をこの場所で…


花を添えながら…


彼は懐かしそうに聞かせてくれたの。






俺はね…

アイツがすごく怖いよ…


本当はね?


仇を討つとか恨みとか…


何かそういうのでは無い感じもするんだ。






私もこの時は、あまり理解出来なかったけどね。


女には解らない…


男の何か…ってやつかな。




この砂漠に来て…

もう五回目の時…




遠くの爆発音…



そして耳を潰す程の…

あの咆喉…




その瞬間…彼は…目の色が真っ赤に変わった。




私は奴よりさ…

彼の気迫とあの眼に怯えてたわ…



そして私を無視して、彼は奴に向かった。




ああいう場面に出くわすと女はダメね。



さっきまで気の弱そうな感じだったのに…


どんどん魔物のように…変わっていくんだもん…





たまらなかったわ…

本当…

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