九話
いやあああああ!
あたしは…
血の中に倒れ込むあの人を見て…それから…
………
あまり記憶にないんだ。
獅子は逃げたのかな、もういなかったよ。
お腹がね…
ほとんど無いんだ。
あの人は…
荒い息と紅い血を吐きながら…
あたしに言った。
ハア…ハア…
お…俺を殺せ……
痛かったね…苦しかったね…
もう楽にしてあげようね……
ああ……ゴボッ…
お前なら本望だ…
ハア…ハア…
何だよ……
ま…また泣いてんの?
はは…
泣き顔…忘れないよ…
お前を忘れない……
あの人の最期の言葉だった。
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