第2話

一度、やつに話かけた事がある。





あう うう ああ ううう ああう





これが返事だった。

言葉を無くしちまってたよ。




やつがこうなったのは、あん時……


確か、親を狩りで亡くし身内に引き取られて、二年が過ぎた頃だ……




やつには妹がいた。



だがよ。

この身内がひでえ奴らでなあ。

いきなり面倒見なければならないことに加え、別段裕福な暮らしでもない。


そこまではわかるが……


今までの生活が少しの負担に耐えきれず、次第に邪魔なものになる。

その果てには、二人に抑えられない感情を…



ああ……お前の想像する通りだ。


毎日…毎日な。



それでも妹をかばいながら、奴は耐えてたよ…



妹の未来の為にな。

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