第10話 ヤラシア領欲しく無い

「衛兵出合え!!誰か!その幼女を捕らえよ!!」

と言い残し、ヤラショボ二人逃げて行く。

一万の将兵を、わしが焼き払った事でびびって居る。

小声でナオちゃんに話しかけた。

「わしは元カスメ領を滅し領主になったマンバじゃ」

「マンバちゃん?日本名じゃ無いね!」

「転生じゃから·····詳しい話は後で、今は協力してくれぬか?」

「分かった!取り合えずマンバちゃんを守る!!」

ナオちゃんわしに慣れたのか、オドオドした感じが抜けて普通に会話してくれておる。


安心して、わしは取り囲む衛兵に話しかけた。

「その情報士官の言う通り、わし一人で一万の軍勢を焼き尽くした」

「諸君は、滅ぶヤラシアに最後まで付き合うつもりか!」


時間を掛けすぎた為か、殆ど無人と思われた城内に、これ程兵が残って居たかと驚くほど集まって来よった。

ざっと見た感じで200人程が取り巻いておる。


「皆に話がある!!ナオちゃんも聴いてくれ!!」


わしには譲れん欲望があるのじゃ。

こう見えて、わしは760年の永きに渡り存在し続けて居る。

想像もつかんかも知れんが、このナオと同じで此処とは別の世界から来た。

わしはその世界地球の日本と言う所で、絶対的力を持った妖怪王山姥として君臨しておった。

妖怪になった原因は、呪われた因習「姥捨て」と言う、60才まで運良く生き抜いた老人を、非生産者不要なお荷物として山に棄てる風習の事じゃが、わしも60歳となり還暦の祝いの翌日、姥捨て山に棄てられた。

その時孫の小助が「ばあちゃん何をしてでも生き抜いて」と言いながら大きな握り飯と手製の山刀をこっそり押し付けて約束させられた。

可愛い孫との約束、「生き抜く」

狼に左腕食い千切られながら、逆に喉に喰らい付き何とか使役したのを始めに、山に住む物化、妖怪どもを配下にして行った。

その内気付くと、わしも妖怪に成っておったようじゃ、左腕が生えて来おって気がついた。


「わしは、生半可な事で此処に来て居らん!!!」

「わしが生き抜く事に邪魔する存在は消滅させる!!!!!」



「·····マンバ姫様、我々の開戦は全領民総意で始めました」

「領民の総意?」

「そうです、領民一丸となり「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」「欲しがりません勝つまでは」のスローガンの基、全てを我慢して戦争に向かいました」


「·····詰まらん!昔聞いた事があるのぅ」

「わしを知っておるようじゃが、貴公は誰じゃ?」

「私は城代家老を務めて居りますキラトと申します」

「家老キラトか、総責任者なら話して聞かせる」


良いか?人とは述べて、衣食が足りねば録な行動をせん。

「衣食足りて礼節を知る」

着の身着のまま、食うや食わずで真の正道は進めんぞ!!

「我々はどうすれば良いのでしょうか?」

「·····そうじゃな·····秀吉·····進駐軍政策で行くか!!!」


御告れを出すのじゃ!

戦は終結した。

敗戦では有るが、領民に罪は無い!

悪いのは、全て民衆を煽り、破滅に向かわせた領主である。

後日取り調べの後、領主の公開処刑を行う!!

領民全てが毎日腹一杯になる食料を、新領主マンバ姫様が準備して下さる!


「と、こんな所かな?」

「其から、特種な領民気質を考え、百姓町民から武器の取り上げ、刀刈り」

「武器の携帯は兵士警らのみ許される」

「さてキラトさん兵に命じ、領主と危険人物の拘束を!!」


生きて虜囚の辱しめを受けず、徹底的な死兵思想の浸透は、完全敗北で逆に腑抜け兵に成り果てて従順過ぎる、わしの私兵に成り果てて居る。



テレス宛に書をしたため、コロに大至急の配達を任せた。


「さて、宝物庫に向かうか」

近衛隊長ドゴスに案内され宝物庫を調査。

予想はして居ったが、酷い状態、僅かな金貨が隅の方に置かれ、後は武器庫と見間違う部屋だった。

占領後の資財の略奪を頼みに、戦争吹っ掛けたようだね。

領民の洗脳支配は見事だが、統治政策のずさんなこと。

改めて、ヤラショボ領地要らねぇ!!

「おっと姫にあるまじき言葉使いじゃった」


軍の偵察に向かったナオちゃんが、男を連れて帰って来た。

不審に思って居ると「マンバ姫様こちらは弟のテツです」

「テツ挨拶は!!」

「ふんっ!凄い転生者って来て見りゃ、何でぇこのガキンチョか!!」

「生きの良いワッパじゃな!ナオの弟はふふっ」

「ナメるなガキンチョ、俺は15歳だぞ!!」

「ふふっわしは760歳じゃ」

(何を張り合っておる、わしもまだまだじゃな)

「幼女が760歳?大洞吹くな!!」

「ナオ状況は?」

「ガキンチョ!無視するな!!」

「マンバ様、兵が徹底抗戦の構え、700程兵舍軍事施設に籠城して居りました」


「では掃除に行くか」

「近衛隊長ドゴス、ついて来い!!」「はっ!」

(ついて来いじゃなく、ついて行くだな?場所が分からん)

ナオとテツもついて来た。



「ドゴス呼び掛け!」

「はっ!」

「反乱兵に告ぐ!私は近衛大隊長ドゴスである」

「直ちに籠城を中止し、正規軍に合流せよ、この凶行今なら不問とする」

「10分待って投降無き場合、邪神マンバ様が壊滅に向かう、覚悟するように!!」

(どうでも良いが、妙に従順と思ったら、こいつ等わしを邪神認定しよったか)


反乱兵も見ておるし、ドゴスの期待に沿ってやるか。

「10分経った、これより攻撃を行う!」

軍習練場の中央に、鬼火塊を「えいっ」

ドッゴーン

大穴が空き、砂塵が舞う!!


「はい解決!全員ゾロゾロ投降じゃ」

一万の軍勢が消滅、マンバ姫が行った凶行と軍関係者には知れ渡って居る様子。

一発で解決じゃ。

ドゴスが号令を掛けた。

「整列!!」

流石軍人、きびきびと整列しよる。


「諸君は軍人として、間違った行動した訳では無い、よって不問とする」

「飢えた住民の為に、貴官等には大量にある軍の食材を、かき集めて欲しい!」

「中央広場に炊き出し準備をするよう命ずる!!」

「指揮官は誰じゃ?」

「城下防衛軍指揮官ドメス大尉であります!」

「ドメス大尉、貴官に任せる、調理は住民の応援を募れ!!」

「以上炊き出しに向かえ!!!」

「「「「「はっ」」」」」

(丸投げ出来た!)


何か視線を感じる。

「お前すげぇな!!火の玉!!ガキンチョ見直したぜ!!」

「テツ!姫様に不敬!!」

「姉ちゃん同じ元日本人じゃねぇか、不敬もくそもあるか!!」

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