第7話 事後処理は面倒
近衛隊長の先導で宝物庫に急ぎ向かう。
200年君臨した妖怪の王者の感はまだ錆び付いて居らんかった。
警備兵の制止を押しきって、キラキラ衣装の高官らしき男が、侵入しようとしておった。
近衛隊長は、呆気に取られた顔で「ドリカザ殿、何をされて居る!!」と叫んだ。
「?·····タカダ殿か·····なに、カスメは滅んだ!クロノに呉れてやるより、退職金として貰って置こうと·····貴殿もどうじゃ?」
(このゲスはどうでも良いが、タカダだと?どう言う事じゃ?)
取り合えずぶん殴ってと。「ボゴッ!!」
「宝物庫荒しの盗賊を捕らえよ!」
命令を受け警備兵が、即座に拘束した。
「近衛兵2名この場に残り、警備兵と協力、侵入しようとする者は、全て切り捨てよ!!」
「マンバ姫様、ドリカザ殿はどうしますか?」
「猿ぐつわ噛ませて、見せしめに転がせて置け!」
「了解しました!!」
宝物庫を覗くと、よくも溜め込んだと呆れる、金貨の大海に金銀財宝の大山。
(よし!!財源確保!!)
「近衛隊長·····タカダさん、話がある付いて来て」
「はっ!」
「ここなら人は来ないだろ、聞きたい事がある·····」
「君は日本人の転生者か?」
「マンバ姫様!何故日本人をご存知でなのすか!」
「わし本人が、日本からの転生者だからじゃ!」
「日本·····転生者?·····本当か!!·····そうか、解った、我がカズマ家の秘密をお話をします」
何代か前のカズマ家の創始者が、転移者で(高田和真)と言う事らしい。
職業は「ほーむれす」と言っていたそうで、逞しいサバイバル技術を持って居たそうだ、残念だが技術は現在受け継がれては居ない。
初めに、タカダカズマと名乗った為、タカダが名前でカズマが家名と勘違いされて、代々カズマ家を名乗り、当主はタカダに改名して居るそうだ。
高田和真本人が後に間違いに気づいたが、公に成った家名の変更は出来ず、現在に至る。
異世界の地球日本は、上位の世界で魂の格の違いから、転移して来た直後から、元々逞しい身体が、更に強靭な肉体になって居たそう。
異常に強靭な肉体に、控え目な人柄、それに職業知識が、当時のカスメ領主に気に入られ、重鎮に取り立てられたそうだ。
資質は引き継がれ、当主は初代タカダと同じ位強靭な身体をしているそう。
代がかわる毎に、容姿は黄色人種からはかけ離れて来ているが、日本人的資質は引き継がれているようで、近衛隊長に初対面から感じた親しみの理由が理解出来た。
「ところで、姫様、謎の職業ほーむれすに付いて何かご存知ですか?」
「わしが生きておった頃には無かった職業じゃ、呼び名が特種じゃな?日本の職業でなく、舶来の職種かも知れぬ」
「そうですか!更にご先祖様を誇りに思う!!」
「そうじゃな!それに和真体質を受け継いだ自分も誇れ!!」
「有り難う御座います、姫様!」
「広い意味で同族と解り納得した」
「わしの事も、詳しく話して聞かせる!」
わしの特種性に驚いて居たが、幼女と思えぬ超人行為に納得し、尊敬されたようじゃ。
八百万の神々、日本人の曖昧漠然とした神仏思想も受け継がれて居た為か。
説明し、最後まで理解出来んようじゃった妖怪も、神に等しい存在と曲解され、完全な忠誠心を得たようじゃ。
タカダ隊長と、近衛兵詰所に出向き、状況を理解させ各人に指示を飛ばした。
さて、面倒な事後処理の始まりだ。
密談の出来る小会議室に集めた人材は、例の14人を含む100名が、わしの直属部隊になり、代表ヘンリーとサンダー
近衛から代表タカダと副官リード、賢者テレス、城の維持管理者代表侍従長セバとメイド長ジェーンの計7名。
まず危険な軍関係者、不穏分子の排除これは、集めた人材軍関係者が多い為即終了、名の上がった将軍を始め各軍の長を拘束する。
拘束するのに、わしが同行する必要がある。
今後の政治経済に関しては、わしの構想を理解して居るテレスを大蔵大臣に任命侍従長セバを輔佐に付け丸投げ、たまに状況説明する事。
近隣領への牽制、これはタカダを軍総括大将軍に任命、現近衛隊長だから揉めないだろう、丸投げ!!
1週間後のマンバ領宣言に向け、行動開始!!!
軍関係の制圧!これは丸投げとは行かない。
マンバ直営軍精鋭20人を引き連れ、コロに跨がり··········見てくれは大切!!
直営軍精鋭20人ヘンリーを筆頭に、良くもこれだけ悪人面集まったもの、荒くれ盗賊団が可愛く見える。
直属部隊はわしの提案で、揃いの鎧の胸に漢字で一文字「魔」の字を入れた。
漢字を住民が読めて意味を知って居るならば、雰囲気面構えから、魔王軍に見られそう。
知る人が全く居ないので、お洒落な模様が入ってる程度の認識だ。
将軍にその一派、第一第三第五第八第十二、各部隊長と兵500名を、軍戦闘訓練場に集める、他の部隊も殆ど何事かと集まっておる。
(名前聞いたが忘れた·····まっ良いか)
「ここに集めた将軍以下、5部隊は軍隊にあるまじき悪行と反乱の容疑がかかっておる」
「裁きは単純、軍人らしく戦って勝てば無罪とする!!」
「506人おるな!お前達の相手はわし、マンバとコロこの犬コロじゃ!!!」
「何も言う事は無いか?」
「姫か何か知らんが、思い上がるな娘っこ!」
「狼諸とも捻り潰してやる!!!」
「準備は良いか?盛り上がった所で始めるか?直営軍は離れて居れ!!!」
この世界の人間、予想外に弱い!わしが体当りをかませ一直線に駆け抜ける、抵抗が殆ど無い面白いように正装備の兵が吹き飛ぶ!!勿論飛ばすだけじゃ無い、両手で掻き切りながらじゃ。
吹き飛ぶ兵の血飛沫が散り、千切れた手足が舞う。
コロの駆け抜けた後は悲惨じゃ!!「残酷描写有り」にしても描写に戸惑う惨状じゃ。
集まって、戦闘を眺めて居ったプロの軍人が、少なからず吐いておる状況で分かるな!!
わしが本気出すと、500程度の人間、破壊し尽くすに時間は掛からん。
コロのおまけが付いて居る、終了まで3分じゃった。
恐怖支配?可愛いマンバちゃんが恐い訳無いじゃない!!
顔面蒼白の軍人達、軍制圧終り!!
直営軍精鋭達まで、何で避けるの?
ヘンリーは思う。
あの時自分達、相当手加減されたようだと。
「シルバーウルフに恐怖したが、たかが災害級·····マンバ姫様は天災級!!!」
「シルバーウルフ5頭を、ねじ伏せて使役した事で気付くべきだった!マンバ姫様はシルバーウルフより、遥かに強い事を!!」
「この幼女凶暴にて、取扱い要注意!!!!」
震えながら思うのだった。
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