『スター・グリーン』プロジェクト
れなれな(水木レナ)
プロローグ<コールドスリーパー>目ざめ
「自分、ガイです。アキナスたらふく食って、コールドスリープ入りました」
「ハーイ、ガイ。自分はシャオメイ。よろしく。それ受け狙いアルか?」
「受け狙いじゃありません。本気ですから」
「ふんふん。見たところ、ほとんど西洋人だけど、イーストバンク出身アルか」
「はい……自分の時代は三世って言ってました」
「同じ東洋系どうし、仲良くするアル」
「ミーはナスビ嫌いヨ。ナスビ食べた男とキスしたら、ナスビの味がするの、イヤだヨ」
「自分、よく知らない人とキスする習慣、ありませんから」
「もののたとえヨ! そういう言い方すると、ミーが病気みたいデショ!」
「あんたもたいがいだヨ。あんまり嫌いな男とキスする想像はしないものアル」
「自分、あんたが好みです」
「オマエなかなかワイルドヨ。デモ馬鹿デショ」
「さて、この中で名乗っていないの、あんただけアルが……」
「ミーはジェインヨ。ウエストバンク出身。父はアンドロイド会社の社長ヨ。下請けだけど……ミーはこれでもご令嬢ヨ」
「ジェインの時代は、中産階級でも、コールドスリープに入れたアルか」
「ミーがトップのエリートなのは、七光りじゃないのヨ。シャオメイは?」
「ふん。自分はセントラルのハイスクールに留学してたアル。金がうなるほど家にあったのは、その辺の特権階級と同じアル」
「あんた、その長い髪、染めているんですか。それとも地毛?」
「うふっ。セントラルでは、ブロンドが流行ってたアル」
「ユー、すごいヨ!」
「この状況で、悠然としていられるの、さすがですよね」
「ソレはオマエだヨ」
「自分、ガイです」
「ハラキリ・ブレード持っている時点で、Mr.ブシドー決定ヨ」
「いつの時代なんですか、その呼び名。訂正して下さい」
「アキナス・ダイスキとハラキリ・ブレード。今のところ、ガイのプロフィール、それだけアル」
「この太刀は、祖父の形見なんです」
「ハラキリ三昧じゃなかったアルか」
「なんですか、ハラキリ三昧って。本当、やめて下さい。マジで」
「状況を整理するアル」
「ミーに異存はないヨ」
「出身も、種族も異なる、コールドスリーパーが同じ時代に目覚めた。この意味について、意見したいアル」
「なんだか、ワクワクします」
「アブラムシに賛成ヨ」
「我々に共通するものは何か。ポジティブな面でもネガティブな面でも一つアル」
「「それは?」」
「優秀な超能力者でありながら、能力を封印して時代を跳躍せざるを得なかったことヨ」
優秀な超能力者は通常二つ以上の能力に長けていて。
それはコールドスリープのカプセルにしつこく刻まれており、およそ縦でも横でも、はたまた逆さに見ても読めるようになっていた。
ジェイン・女性・血液型O型・18歳・能力「透視」「創造」
ガイ・男性・血液型A型・18歳・能力「念力」「体力増強」
シャオメイ・女性・血液型B型・19歳・能力「瞬間移動」「状態回復」
……。
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