定家物語
ポストーク
上
あぜ道を歩いていた。
「屋敷の人間はみな学がなく、
つまらぬ者ばかりじゃ。」
袖から取り出した本を開く。
「あぁ、それに比べて、
[
マロも
定家の元に服がボロボロの少年が駆け寄ってくる。
「あぁ、お偉い方、
これ以上の徴税は勘弁していただけませんか。
日照りで田は枯れ、魔物が暴れ、
もはや米一粒も残っていないのです。」
「む、マロは税を取りに来たのではないぞ。
”
定家は[
右手を念仏の構えにした。
「何をなさるのですか?」
「まぁ、見とれ。
<しるしあれ>!!」
定家が叫ぶと、辺りの田がみるみるうちに
潤って、豊かな土に変わった。
「あ、ありがとうございます…!
何をなされたのですか!?」
「”
良き書物には強い力が宿っておる。
それをチョイと使っただけじゃよ。」
「おぉ…?ともかく、
何をもってお返しすればよいのでしょう…!?」
「…その”お返し”じゃが…」
定家が距離をつめる。
「な、なんでしょう?」
「さっき言ってた、”魔物”とはなんじゃ?」
「実は私の家では、
先祖より大切にしろと言われている
本があるのですが…」
「なぬ!?本だと…」
食いつく定家。
「それがある日、恐ろしい魔物の姿となり、
家に穴を開け、田を荒らし、
山へと駆けていったのです。」
「おぉ!それはマコトか!?
山というのはどの山だ!?」
定家が顔ぎりぎりまで踏み込んできた!
「あ、あちらになります!」
「案内しろ!名を何という!?」
定家が山へ向かって駆け出した!
「
定家どの!危険ですよぉ!」
吉兵衛が定家を追う。
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