独り言

講談社文庫さまで出させてもらっている「杜ノ国」シリーズは、ファンタジー要素が多めの話です。


2巻を書いた頃から「鉄線で編み物をしているみたいだなぁ…」と感じていたんですが、巻が進んでも同じで、「やっぱり鉄線で編み物…うう、重い…力が要る…」と、力技を駆使する感覚が続きました。


ずっと続くので、だんだん理由も思い浮かぶようになったんですが、常識ではありえない場所を舞台にしたり、非現実的な展開が続いたりするからかな、と。

ありえないものを、ありえるように書くには、硬くて重い鉄線を編むように、強い力で引っ張る必要があるから。

簡単には繋がってくれない現象と現象、展開を結び付けていかなくてはいけないので、より力が大きいもので引っ張らないといけなかったのかなと。

そうしないと、リアリティが足りなくて、白けてしまうというか。


今回は、鉄線を引っ張り合うのに哲学と自然科学の力を借りたと思います。

ありえないものを、ありえるように感じてもらえるように、絶対に覆らないものの要素を足していく、みたいな。

基本的に借りるべきものは人間の感情で、私は五感の情報を入れるのも好きですが、それだけでは足りなかったし、足りないという状況を生む別の原因もあったのだろうなと。(長くなるのでこれ以上は割愛)


多分そうだったんだろうなと、いま振り返って思ったので、記念に(?)書きにきました。


もっといえば、わたしに扱えた素材が哲学と自然科学しかなかったから、「鉄線だ…重いよぉ…」と苦しんだのだろうなと。

まだわたしが知らない知識が豊富にあったら、鉄線をかるがる編んで、余裕でレース編みとがができていたかもしれないです。

そもそも「鉄線だ、重いよぉ…」なんて感じなかったかも。

くそぉ………。

(その時はその時で、別のことを悔しがっていると思うけど)


トライアル&エラー、PDCAの繰り返しです。

毎回身に染みるのは、問題は基本的に書きだす前にあるんですよね。

小手先のことじゃなくて、自分自身との戦いになるというか。

というか、小手先のことなら見つけ次第全部潰せるけれど、書きだす前の自分の読み不足はどうにもできないです。


もうすぐ発売される物語はいまの私が作れる最高傑作ですが、つぎに新しく書くなら、もっともっと面白い物語を書きたいです。

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