19
駅から程よく近い綺麗なマンションの一階が宗田くんの家だった。
もたもたと鍵を出すので、それを奪い取るようにして玄関の鍵を開ける。
宗田くんを中へ押しやると、重いドアが背中越しにパタンと閉まった。
「じゃあ私帰るから。ここで寝ちゃダメだよ。」
「…うん。」
「鍵、ちゃんと閉めてよ。」
「…うん。」
返事を聞いて、そっと外に出る。
一応ドアの前で耳を澄ませてみたけど、一向に鍵を閉める音が聞こえてこない。
そのまま寝てるとか、ないよね?
ここ一階だし、鍵閉めてくれないと不安なんですけど。
玄関の前でウロウロする私が一番の不審者になっている気がする。
もし防犯カメラでも付いてたら、挙動不審な姿が映っているだろう。
ああ、もうっ。
私はもう一度宗田くんちの玄関のドアを開けた。
そこには、さっきと何一つ変わっていない姿の宗田くんの姿があった。
「宗田くん、ここで寝たらダメだし、鍵も閉めないと不用心だよ。ほら、立って。」
座り込む宗田くんの左腕を持って立たせようとしたのに、何故だか私の視界がグラッと揺れた。
えっ?と思った瞬間に、私は宗田くんに捕らえられていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます