08

お花見といえばバーベキューかもしれないけれど、この公園では火を使うことが禁止されている。

だから今私たちの目の前に出されたのは大量のお菓子だ。


「はい、二人ともビールでいい?それともチューハイ?」


設計課の男性がこちらの答えも聞かずビールとチューハイの缶を強引に渡してくる。

と、すかさず宗田くんが私の手から缶ビールをもぎ取り、紙コップと交換した。


「仁科はこっち。だろ?」

「うん。」


渡された紙コップにオレンジジュースが注がれる。

お酒が苦手な私は飲みの場でもいつもソフトドリンクだ。


「飲めないんだから、ちゃんと断れよ。アルハラとかする人たちじゃないからさ。」

「うん、ありがとう。」


宗田くんはそう言うと、私の隣にどっかり腰を下ろした。

それを見ていた可憐ちゃんが、私に耳打ちしてくる。


「真知さんお酒飲めないんですか?」

「うん、苦手なの。」

「へぇ~。それにしても、宗田さん優しいですね。真知さんがお酒飲めないの知ってたんだ。ちょっと見直しちゃいました。」


そうなんだ。

宗田くんはいつも私に気を遣ってくれる。

とんでもなく優しくて、ダメだと思いながらもいつも私はそれに甘えてしまっているんだ。

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