四度、まだ眠たい寝

四度、まだ眠たい。


 二日酔いの休日はぼーっとして、何度寝かしたのちに、夢か現実かわからなくなってくる。

 頭の中はぐるぐるしてて、いつ寝たっけなんてことを思い返す。


 二日酔いというものをまず脳みそを高級マンションに置き換えてみます。五十階建の高層ビルです。三十七階の佐藤さんが今回の二日酔いのカギを握っているようです。佐藤さんはもうたいそう酔っ払ってるので同じフロアの扉という扉をバンバン叩きます。挙げ句の果てには八つあるエレベーターを全て三十七階に呼んで、全ての階のボタンを押すというしょうもないいたずらをはじめました。


 そんな佐藤さんを見るに見かねた管理人の新井さんが、佐藤さんに水をぶっかけます。すると佐藤さんの動きが少し鈍りました。

「よし、今だ!」と周りにいた住民達も一緒に佐藤さんに水をぶっかけまくります。三十六階の高橋さんなんかは親の仇かというくらいにぶっかけまくります。


 ようやく佐藤さんが正気に戻ったところで、びしゃびしゃになったマンションをみんなで掃除していきます。

 なんて素晴らしいご近所付き合いなのでしょう。

 「佐藤さんのお陰でまた一つ住民の結束が固くなりました」と新井さん。


 そろそろいい時間になったので、みんなが家に帰ろうとしたとき、ドンッと三十八階から物音がしました。みんなが慌てて向かうと、そこには泥酔した向井さんがちょうどエレベーターの全て階のボタンを押している途中でした。


 ループして、階層が緩やかに変わって夜になっていく。頭の中はぐるぐるしていて、いつ寝ればいいんだっけなんてことを思う。

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