其の名は
あさぎかな@電子書籍/コミカライズ決定
序幕 其の名は?
ぼう、と暗闇の中で幽鬼のように姿を現したのは紅の鎧武者だ。
全身甲冑の武装をしており、腰に携える太刀は絵物語に登場するような業物。頬当てをしているのでその表情は読み取れない。ただ紅蓮に迸る瞳が爛々と輝いていた。
「ほお、ここまで潜り込むとはな」
対峙する人影は影のような輪郭のみで泡沫のように脆い。
「某の起源を聞いてどうする?」
対峙する者は鎧武者を説得すべく身振り手振りを動かす。声という声はないのだが、鎧武者との意思疎通は出来ているようだった。
「…………! …………!」
「その様な強権を出されては話すしかないな。しかし──某の話を聞いて、お前の魂が耐え切れるか分からぬ故、心してきかれるが良い」
影はこくりと頷いた。
鎧武者は嘲り笑うような声を上げた。
「《其の名》を呼ぶ者は誰もいない。ただの人間だった子どもが鬼に──化物となった物語を騙るとしよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます