君の心は春が来るように溶けていく

慶田陽山

第一章 凍った心

俺の名は小林拓海、16歳高校一年生だ。高校に入学してから半年がたった。今まで特に自分に良いこともなく、悪いこともなく、普通に楽しい日常を過ごしている。今日も朝早くに起きて駅まで歩き、電車で10分で学校に行っている。クラスにはにぎやかな奴や、静かな人など個性が違うものがたくさんいる。でも、一人だけ謎の人がいる。それは、俺の横の席の彼女、小池涼音。彼女は誰とも話したことがない。これは俺だけではなく、他のみんなも話したことがない。話しかけても、何か話そうとしているのはわかるが、途中で逃げてしまう。多分話すことが苦手なのだと思う。今日も彼女のことをたまに考えながら一日過ごした。授業を7時間目まで受けて、帰る前に図書館に行った。借りていた本を返し、また別の本を借りた。少し図書館で勉強してから帰ることを決めた。一時間ぐらい勉強した後、俺は荷物をカバンに入れて、家に向かった。だが、図書館を出て歩いていると、途中で誰かがうずくまっているのを見つけた。不安になり声をかけた。

「大丈夫ですか」

俺はそう声をかけるとその子が顔を上げた。その子はあの謎の彼女、小池涼音だった。彼女はお腹を抱えて座っていた。俺どうしたらいいかわからずとっさに思い付いた事を言った。

「保健室に連れて行こうか?」

彼女は頭を横に振った。彼女は指をさした。そこは自販機の近くにあるベンチだった。俺は彼女と肩を組んでベンチまで運んだ。俺は自販機の前に行き彼女に

「飲み物、暖かいのがいいよね。ココアでいい?」

彼女はこくりとうなずいた。俺は彼女に渡すココアと俺が飲むコーヒを買った。彼女にココアを渡したら彼女が

「ありがとう。お金、いくら?」

しゃべった。しゃべってくれた。俺は嬉しくなった。初めて彼女の声を聞いて思った。とても綺麗で可愛い声だった。

「あ、いいよ。俺のおごり。クラスメイトだし気にしなくていいよ。たかが200円だし」

俺は慌てて答えた。でも彼女は不満そうな顔をしていた。でも俺はそれより彼女のことが心配になった。

「お腹、大丈夫?もう、痛みは引いた?」

彼女はこくりとうなずいた。

「そっか、ならよかった。それと一つ質問していい。なぜ小池さんはクラスの誰かと話したりしないの?」

彼女は困った顔をしていた。そんなに難しい質問はしていないのだが。

「私の心は凍ったから。何を話したらいいかわからなくなった。それだけかな」

彼女から出た言葉に驚いた。心が凍ていることに俺は驚いている。


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