part1 一日目
ほんまに意味がわからん。気が付いたら南の島に流れついてました。人の気配はまったくないし、どこまでも海が広がってるし、空も海もめっちゃ綺麗やし。唖然としてたら足の指カニに挟まれて血ぃ出るし。
ひとまず海岸沿いを歩くことにしました。目的というのは特になく、しいて言うなら「誰かと会わんかなー」と思いながら。
でも人はいませんでした。気配すらない。完璧なる無人島。パーフェクト、ノーヒューマン、アイランド。……正直、ゾッとします。海岸線を回ってるとき気が付いたんですけど、この島の海岸には人工の漂流物(空のペットボトルとか漁船の破れた網とかビーチサンダルとか)がひとつも流れついてないんですね。これが何を意味するのかというと、「この島は人が住んでる島から、遠くかけ離れた場所にある」ってことなんです。ハワイでもグアムでもないし、その近くですらもない。
ひとまず飛行機が上を通ったときのことを考えて、砂浜に「SOS」とでっかく書いてみました。まさか自分がこんなベタなことをやることになるとは、と思いながら。書き終わる頃にはもう夕方で、あたしは砂浜にお尻をつけて三角座りをして地平線を眺めつつ、船か飛行機が近くを通ることをひたすら願っていたんですけど、あっという間に日が沈んで、真っ暗闇になりました。本気で何も見えません。中心地ではないとはいえ仮にも大阪在住だったあたしにとっては経験したことのない暗さです。その場から一歩も歩けずにいたんですけど、肉体的な疲れからか精神的な疲れからか、いつの間にか眠ってしまいました。
……こうして無人島生活の大事な大事な一日目を無駄に過ごしたわけです。
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