理想郷
勝利だギューちゃん
第1話
人の縁とはもろい。
つなぎ合わせるのは大変なのに、あっけなく切れる。
長さは関係ない。
でも仕方ない。
所詮は、それだけの関係だったという事だ。
「寂しくないの?」
「ああ」
「本当に?」
「ああ。僕の自業自得だ」
人との関係を保つためには、どちらかが我慢をして、犠牲にならないといけない。
一度犠牲になってしまえば、必ず損な役回りをさせられる。
≪いつの世も、弱者が被る罪と罰≫
よく言ったものだ。
「ねえ、元気?」
「しばらく顔見せなかったな」
「私も忙しいからね」
「その字は、心を亡くすと書くぞ」
「私は、普通とは違うよ」
昔から、時々僕の前に現れては、
少し話をして、帰って行く。
イマジナリーフレンドとは、違う。
でも、近い物があるかもしれない。
子供というのは、自分の中で友達を作り上げる。
大人には理解出来ないが、大人というのは、世間体を気にする。
子供はそれを見て育つ。
大人というのは、良い結果が出れば、自分のおかげ。
悪い結果が出れば、お前の力不足と責任転嫁をする。
それが、受け継がれて言っている。
反論しても、そうしないと生きていけないのだ。
「ねえ、君はどんな、大人になりたい」
「見てきた大人にはなりたくない」
「大丈夫。君はなれないよ。そんな大人には・・・」
その答えはひとつ・・・
「お迎えか?」
「うん。そろそろ行く?」
「ああ」
「未練はない」
「ああ」
向こうでは、何が待つかわからない。
僕もいずれ忘れされる。
それでいいし、そうあるべきだ。
「じゃあ、作ろうか。君の手で」
「何を?」
≪君の理想郷を≫
理想郷 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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