モフの孤児院4

あれから数カ月




 ぼくはコジ丸、育ての親のばあちゃんが駆け落ちして孤児になってモフ村にきた男だ





 数か月モフ村で育ち、成人になってすぐに周辺の村に奥さんを探しに行きました






 モフ村出身である僕らはきれいな身だしなみに品性のある言動を教えられていたために、村にいったらすぐにモテた






 だってそうだよね、モフ国では孤児は奥さんを連れて一緒に帰ってくれば一戸建ての家がもらえて、毎日3食の食事にお風呂も毎日入れる、家を継げないような次男や三男なんかが目を輝かせて聞いていた。中には家族そろって移住しようかという人もいたくらいだ






 婚活中には村長の娘の次女だとかいう威張った娘もいたが丁重にお断りさせて頂いた、おっぱいはでかかった、ちくしょう





 そんな今までモテたことのないぼくだったが、調子に乗ってしまう前にすごく良い子を見つけて今はモフ国の一戸建てをもらって一緒に住んでいる






 彼女は容姿などいたって普通、これと言って何か人よりもすぐれたことができるということではなかったが、控えめで地位や名誉に執着しない性格と、決められた家の手伝いをちゃんとこなす人柄に惚れた。この性格はモフ国でも合うだろうと思ったのもそのためだ、奥さんは今家のことを主にやってもらっている、そして僕はその分モフ国のために仕事についている、そうさんざん有能が有能がと言っていたがこういう当たり前のことで良いのだ







 貴族婦人曰く、まあ結局有能有能と言っているけど、世間一般に言う「すごい人」はいらないよとのことだった、曰くすごい人ってのは基本頭おかしいって、やれやる気だの根気だのうるさいだけだって、もちろん無能もいらないから、あと、すごい人ってことは人よりも突出したものをもってるって意味だからこの時点で普通じゃない






 普通って言われる人が一番友達になって楽しいんだって






 確かにその話は分かる気がする、すごい人 とかいわれてる人ってなんかやばいやつ多いもんね、特にアジア人は権力持つと無能になる率高いから気を付けたほうが良い、私も気を付けたい








 まあとりあえずうちの奥さんはおっぱいは小さいが良い人だってこと






 んで同期が集まって今はパーティーしてる、嫁さんや旦那連れてみんなで顔合わせだ、俺ら同期の孤児達は家も近くにしてもらってるから、こういう付き合いは大事だ









「よう!体の友とその嫁さんよ 乗ってるかい?」






 そう言って酒を飲みながら絡んでくるのはジェイヤン






「ぼちぼちさせてもらってるよ、嫁さんもモフ村に慣れてきてるみたい」






 僕の嫁さんはジェイヤンに軽く会釈をする





「そうかそうかそれは良かった」







 僕はジェイヤンとジェイヤンの奥さんのジェイ子達と談笑していた、すると







「みんなーーーーー!!」





 遠くのほうからグモンジャンが駆けてくる、その後ろには男も付いてきててぜいぜいと息を切らしながら僕たちのほうにやってきた






「みて!私の旦那のサルフォイよ」





 サルフォイと呼ばれた男はオールバックの金髪に、このモフ国の上等な服をきていた




「君たちが、マイ妻の友達だね、よろしく」







 サルフォイは右手を差し出し、ボスっぽい貫禄を出しているジェイヤンと握手する









「おう!よろしくな!ここのモフ国は良い所だぜ!きっとびっくりするぜ」







 ジェイヤンは得意げにそう言う







「ふっふっふっ そんなことはないわ!サルフォイはなんと貴族の7番目の子なのよ!!貴族なのよ!!」







 今度はグモンジャンが勝ち誇った猿のようなドヤ顔をするが……







「…………」






 全員無視である








 ジェイヤンなんかは視線を上にもっていき口を半開きのアホ面を炸裂させる










「なによ!!あんたたち!!貴族よ!!すごいでしょ!!!」








 それでもみんな無視を決め込む、僕も負けじとよだれをまき散らして白目で唸っておく








「そんなことよりカレーの話しようぜ」








 誰かがそういうとみな一斉にカレー談義を始めた








「グモンジャンから話には聞いていたが、本当にこの国の人は権力に対して無視を決め込むのだな、確かにこんな態度をとられちゃあ貴族がどうとかどうでも良くなってくるな」






 サルフォイは、顎に手をあてて考え込む








「なによ!サルフォイの家はねこーーーんなおっきくて、召使のメイドさんも1人いて、セバスチャンっぽい人も1人いるのよ!馬も1頭いるのよ!!」






 みんなカレー談義である






「うぅうぅ プロポーズだって、王都の近くのおしゃれなネス湖で高価な指輪をくれたのよ……」








 カレー大好き、グモンジャンは半泣きだ






「サ…… サルフォイがね…… 2人のボートを漕いでくれて…… プロポーズしてくれたの……」








!? シュバババババ








 それを聞いた女子が速足でグモンジャンの周りを取り囲む








「2人乗り手漕ぎボートの上で、2人きりの湖の上で告白!!??なにそれもっと詳しく


!!」






 女子どもは恋愛の話には貪欲に食いつく






「!? ええ、そうなの、サルフォイったら前日から用意してくれてたみたいで、そうあれは少し汗ばむ夏の朝のことだったわ!……」








 グモンジャンは息を吹き返しそうみなに自慢げに語って輪の中に入っていった、それを一部始終みていたサルフォイは持ち前の利発さでカレー談義に一息ついたジェイヤン達に話題を振ってみる








「君たちは何か趣味のような得意なことはあるのかい?僕は釣りが趣味なんだけどこの前は湖で50cmのブラックバスを釣ったよ」










「おお、やるじゃねええか、だがな相手が悪かったな、そこにいる赤毛のロイの記録は68cmのランカーサイズをこの前釣りやがった」








「すごいね、じゃあ僕は貴族だったから一通りの趣味なんかはやってるけど68cmは貴族の中でも聞いたことないね」






「……」






 みなアホ面を始める






「ふふふ、徹底してるね、さりげに権力自慢してもこんな感じか」






 サルフォイはにやりと笑みを浮かべてもう一度問う






「僕はこの前コボルトを1人で狩ったよ、どうだい狩猟なら僕が一番かな?」








「いやいや、狩猟ならこいつだな、そこのひょろ長いノビル太郎だ、やつは1週間かけて1人でオーガをやりやがったぞ、最後はオーガの衰弱死だそうだ ガハハハハ」







 そう言ってジェイヤンはノビル太郎の背をバンバン叩きながら自慢する、そうやってモフの孤児院の孤児たちは仲良く暮らしていった

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