第376話 終わったようだが
<アニムside>
少し落ち着いて来た。
俺は大きく息を吐き、ゆっくりと鼻から吸う。
呼吸は字のごとく、吐くのが先だ。
深呼吸でもまずは吐かなきゃいけない。
って、そんなことはどうでもいい。
「フレイア・・とりあえず、スバーハ隊長のところへ戻ろうと思う。 その前に、この斧だな」
俺はそういいながら斧を持ち上げる。
フレイアが少し驚いていた。
「テツ、持ち上げれるのね」
フレイアでも、少し動かせる程度だったようだ。
俺も決して軽いとは言えないが、持つくらいならどうということはない。
これで戦えと言われればわからないが。
ウルダの斧をアイテムボックスに収納。
辺りを索敵する。
・・
変な反応はない。
俺たちはそのままスバーハのところへ戻った。
それほどの時間もかからずにスバーハたちの展開している部隊に戻って来た。
部隊は明るい雰囲気で、今からお祭りでも起きるのかという感じだ。
人の中を歩きつつ、スバーハを探していた。
飛行船の近くにスバーハを見つける。
近寄って行くと、大きな笑い声が聞こえてきた。
俺たちを見つけるとスバーハが話しかけてくる。
「あ、お疲れ様でした、テツ殿、フレイア殿。 それで、ミラン殿には会えましたでしょうか」
ドキン!
そう聞かれると一瞬心臓が痛くなったが、答えないわけにはいかないだろう。
「・・い、いえ、ミランさんとは会えませんでしたよ」
俺はとっさにそう答えてしまった。
「え? そうですか・・では、いったいどこへ行かれたのでしょうか?」
スバーハは疑うでもなく軽く答える。
「まぁ、ミラン殿のことです。 何か特命でも受けているのかもしれませんね。 それよりもテツ殿、戦いは終わったと言っていいと思います」
スバーハが笑顔で言ってくる。
聞けば、連合国軍はどこのエリアでも敗戦の連続で、撤退に撤退を重ねてロシアの西の方に集まっているようだという。
そして、徐々に降伏や投降するものが増え、最後には本拠地までもが降伏したという報告を受けたそうだ。
詳しくは帝都に戻らないとわからないそうだが、ある程度の戦力を残して帰還する手順を決めているところだという。
残った戦力で世界各地から徐々に残党を連合国本部へと追しやり、固めるそうだ。
・・・・・
・・・
いろんな話をしてくれた。
結局、ミランとウルダのことは言えなかった。
帝都を出てきたのが15時頃だったと思う。
案外というか、かなり早く終わったようだ。
時間は3時を迎えようとしていた。
半日で終わったのか。
やはり戦争と言えども、兵器や移動速度が変わればすぐに終わるな。
俺はそんなことをフト思ってみた。
俺とフレイアは、帝都帰還組に入れてもらった。
スバーハは精鋭を集めて、他の部隊と一緒に最後まで進行するそうだ。
「テツ殿、フレイア殿、本当にありがとうございました。 我々も3時間ほど休憩したら出発いたします。 ここで一度お別れです。 また、帝都に戻りましたらよろしくお願いします」
スバーハはそういうと、騎士団と飛行船の方へ戻って行った。
俺たちも帝都へ戻ろう。
スバーハに頼んで、もし可能なら俺たち2人だけでも、先に帝都に帰ってもいいだろうかと言うと、快く了解してくれた。
ワイバーンを1体を貸してくれて、騎士団員1人と共に帝都へ向かう。
俺は騎士団員に大丈夫かと聞いてみると、笑顔で問題ありませんと回答。
しんどいだろうけど、こちらもすぐにでも帝都に戻りたい。
気になることだらけだ。
まだギルマスが消えたなんて実感がない。
認めるのが怖いというか、わからない。
だが、この事実を一刻も早くアニム王とエレンさんに伝えなければと思っていた。
ワイバーンがゆっくりと上昇し、俺たちを帝都に向けて運んでくれる。
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