第367話 レアのロイヤルガード
<連合国side>
!!
観測員は目を疑った。
一度視線を外し、もう一度確認する。
「ま、街は・・健在です!」
!!
「・・なんだと?」
「そんなバカな・・」
・・・
皆、自分の想像と違う状況に震えながら言葉を出していた。
今まで見たこともないような攻撃力だった。
地上に太陽が落ちたのかと思うほどの光と爆発の玉。
誰もが何も残ってはいないだろうと思っていた。
全艦艇、観測員の報告を聞いたものは驚いただろう。
その驚きの中、次の行動が遅れたのは仕方がないといえるかもしれない。
観測員の報告はまだ続いていた。
「街の方から人型らしきものが4体、広がりつつ近づいてきます」
その観測員の報告を聞き、つぶやくものがいる。
「敵も武装ロイドを持っているのか?」
・・・
「・・4体は人のようです。 人間です!」
「「何?」」
観測員の報告により、余計に初動が遅れたかもしれない。
◇◇
<アニムside>
アウラたちは広がりつつ敵に向かっていた。
背中の大剣を手に持ち替え、アウラの進む速度が速くなる。
ロイヤルガードたちは広がりつつ、アウラがまず突出する。
線を引けば、アウラを始点に左へゆっくりと下がっていく線が引けただろう。
アウラの前に武装ロイドが展開していた。
連合国側は、両翼の地上に武装ロイドを深く展開し、中央には戦艦などの重武装を多く置いていたようだ。
だが、それもレベル24~5程度の魔石を使ったものだ。
レアたちにすれば、その程度の魔物の処理と変わらない。
アウラが大剣を右肩に担ぎ武装ロイドに接近する。
連合国側も接近してくる敵に対処しようとしていたが、あまりにも遅い。
アウラがそのまま大剣を横薙ぎに振るう。
そして、動きを止めることなく大剣の動きに任せて移動。
右に左にジグザグに揺れながら敵の中を駆けてゆく。
たまに縦方向へと大剣が跳ねると、上空の戦艦などを切り裂いていた。
アウラが大剣を自分の正面に構えて、急激に立ち止まる。
「クレイヴ・ソラス!!」
アウラが言葉を発すると大剣とともに白く光り、上空の戦艦まで届くかというくらいに大剣が大きくなったように感じた。
そのままアウラが大剣を縦横無尽に振るう。
白い光の帯が流れ、まるでカーテンが空中で揺れているような感じだ。
オーロラのような光景が空を縦ではなく横に描いていた。
それを横目に見ていたフローラは立ち止まる。
「始まったわね、アウラの舞いが・・」
そうつぶやきつつ魔法の詠唱を始めていた。
杖を両手で持ち身体が金色に光ったかと思うと、そのまま杖を地面に突き刺した。
「舞え、光の龍よ! そして貫け、ラグナロック・グラム!」
フローラの前面の敵戦艦の地上部分が、少し沈んたような感じがした。
直後、金色の光の柱が天まで貫く。
いくつくらいの数があっただろうか、広範囲に渡り地面から太さにすればテツの魔法を
それが無数と呼べるほど多く、地上から空へと向かって飛んでいく。
戦艦群を突き抜け、雲も突き抜けたようだ。
だが、フローラの魔法攻撃は終わってはいない。
雲の中から金色の龍が舞い降りてきた。
その金色の龍はフローラの前面からアウラ戦っている上空の戦艦群を食べていく。
連合国の持っている戦闘機はまるでハエのような存在となっていた。
◇◇
<連合国side>
アウラが迫ってきている艦隊群を任されている指揮艦長が指示を出す。
「武装ロイドを迫ってきている敵に当てろ。 上空からも砲撃支援を・・」
「か、艦長、敵の動きが速すぎます。 武装ロイドの中に突入!!」
艦長は驚いていた。
まだかなり距離があったはずだ。
艦長は武装ロイドの動きから計算していた。
だが、敵はそれすらも
艦長がそう思っていると、またも悲鳴のような報告が飛ぶ。
「艦長! 味方艦隊を光が貫いています・・あぁ、光が・・」
想像を超える攻撃。
全く想定外の出来事。
対処できるはずもない。
いくら訓練を受けていても、後手後手になってしまうだろう。
まさか地上から光が戦艦を貫くなどと思いもしない。
艦長は指示を出せないでいた。
その間に、今度は上空から金色の龍のようなものが降りてくる。
味方の戦艦を食べているのか?
金色の龍が通過した後には、爆発光と戦艦の消滅。
ただそれだけが確認できた。
・・・
いったい、何が起こっているんだ?
◇◇
<アニムside>
フローラが詠唱している時、メリッサも敵に接近しつつあった。
地上には武装ロイドが見える。
まだ距離はある。
メリッサは右足を前に出して立ち止まる。
ふぅ・・と、息を吐く。
目を閉じて左足を引き寄せ、両手を胸の前でクロスさせて一瞬止まる。
「ハッ!!」
メリッサの髪の毛が発光しているようだ。
遠くで見ていたレアが気づく。
「始まりましたわね、メリッサの武装闘気」
そう言いながらフローラの光の龍を見て、きれいねぇ、などとつぶやいていた。
その横でセレネーが不安そうな顔でレアを見守っている。
・・また、レア様の暴走が始まろうとしている。
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