第362話 次の行動に移るようだ
<アニムside>
「ねぇ、テツ」
「ん?」
「こんな時になんだけれど、テツの子供たちの面倒を見ている女の人って、テツの奥さんなんでしょ?」
フレイアが微笑みながら聞いて来る。
「あぁ、そうだけど、どうしたんだ?」
「うん、テツたちのいた社会システムでは、つがいというか、奥さんは一人だけだったのでしょ・・」
「そうだが・・」
ぼんやりと俺も答える。
「そう・・でも、もうその社会システムもなくなったんだよね?」
「う~ん・・そうなるよな」
フレイアが変なことを聞いて来る。
これってもしかして・・。
「じゃあ、テツが今の奥さんの他に女の人がいてもいいわけね」
「・・・・・」
俺は黙ってフレイアを見つめる。
そして聞いてみた。
「フレイア、それって・・」
「うん・・あのね・・も、もし、よければ私も一緒に・・そのシステムに入れてもらってもいいかなって思って・・い、いや、シルビアが一緒でも私は一向に構わないけど・・」
フレイアがはにかみながら言っている。
言いにくかっただろうに・・ありがとう。
「フレイア・・ありがとう」
俺はまずそう声をかける。
フレイアの目が大きくなってとてもうれしそうな顔をしている。
「フレイア・・フレイアの気持ちはわかっている。 俺もフレイアがいつも横にいてくれるから安心していられる。 でも、それって夫婦っていう契約は必要なのかな? 気持ちがつながっているだけではダメかな?」
俺がそういうとフレイアが不思議そうな顔でこちらを見る。
俺は続けて、
「いや、フレイアと一緒になりたくないっていうんじゃないんだ。 今の嫁・・結婚当時に俺の眼力が不足していたといえばそれまでだが、その不足が今の俺を作っていると思うと何とも言葉がない。 失敗とか成功とかそういうのじゃないと思う。 ただ、前のシステムで結婚という契約をした。 俺たちの意識では到達できない神という前での契約・・」
そういうと、フレイアが「神は何もしてくれないぞ」とつぶやく。
俺はそれを耳にして、笑いながら続ける。
「フレイアの気持ちはわかっている。 俺もフレイアに
俺は一息入れて続ける。
「まぁ、俺が甲斐性なしだから仕方なかったとも、今なら思える。 捨てるとか捨てないとかじゃない。 なんていうのかな・・うまく言葉にできないけど、フレイアはエルフだから長命種だ。 今の嫁が死んでからでも遅くはないし、それまでは今のままのパートナーじゃダメかな? あれ? そういえば、他種族と交配するとエルフの祝福がなくなるって言ってなかったっけ?」
俺はそんなことを言ってみた。
「ううん。 私は、ハイエルフになっているからエルフの拘束はないの。 今まではハイエルフになるには交配期が過ぎてしまっていたから。 まぁ、交配期といっても人の寿命よりは長いと思うけど・・そうね・・そういった関係もアリなのかもね。 テツとはずっと一緒にいられるわけだし・・」
フレイアがそんな答えを返してくれた。
!!
フレイアがハッとしたような顔をしてこちらを向く。
「でもテツ! 奥さんが亡くなる寿命じゃ、テツも亡くなるんじゃない?」
「あ! そうだよなぁ・・まぁ、子供たちが全員優くらいの年齢になったら、その時にきちんと考えてみてもいいかな?」
「そう・・答えはまだおあずけってわけね。 でも、ありがとうテツ」
フレイアが静かに俺を見る。
「いや、フレイア。 こちらこそ本当にありがとう・・」
俺はそう言うと、そっとフレイアに顔を近づけ優しくキスをした。
俺たちはしばらくその場で顔を寄せて、優しい風に包まれながらいた。
俺の心の声。
ここで突っ込まれるだろう、既婚者だろうにと・・違うぞ。
キスくらいでは、握手と変わらないぞ!
舌を絡めたくらいでも、どうってことないぞ。
だが、これは俺だけの価値観だ。
社会的な価値観には合致しないのも知っている。
ただ、病気は怖いな。
時間は20時過ぎ。
スバーハ隊長がわざと足音を大きくして歩いて近寄って来る。
「お邪魔しますよ、テツ殿、フレイア殿。 時間があまりありませんので失礼します。 さて、こちらの方は何とか終わりました。 我々は次の行動に移行します」
フレイアが少し慌てていたようだ。
スバーハが説明してくれる。
捕虜や残った戦艦を連れて帝都に向かう部隊と、進行してミランのいる部隊との合流地点に向かう部隊に分かれるそうだ。
帝都まで行けば、捕虜から情報が完全に得られる。
まぁ、ルナさんもココもいるしな。
今の段階で得た情報によれば、異世界人は反アニム連合みたいな感じで結束しているそうだ。
邪神教団などはすべて自害して、存在がつかめない。
だが、確実にいるのは間違いない。
反アニム連合の連中は、隷属の首輪などを利用して、地球の兵器に魔核を埋め込まれた人をそのまま魔力の供給源としていたという。
だからこその攻撃力だったようだ。
・・
気分悪いな。
それを地球人が知っていたかどうかはわからないらしい。
まぁ、それらはすべて帝都へ行けば判明するだろうとも言ってくれた。
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