第360話 空母の甲板上



◇◇

<アニムside>


俺とフレイアは、戦艦を移動しつつ甲板の上の艦載砲だけを破壊して行った。

案外早く処理していくことができる。

甲板上には敵はいない。

それに戦艦内から敵が出てきても、すぐに横の戦艦に移動している。

だが、艦載砲を斬るときに違和感を感じる。

魔物の感覚もあり、物質のような感覚もある。

それに艦載砲だというのに、2~3体くらいの生き物の感覚を感じる。

マッピングでも感じるが、点が重なっているような感じで1点に感じる。

よくわからない。

そうやって戦艦から戦艦へ移って、今空母の上に来ていた。

艦載砲が一つあるだけだ。

俺は一気に艦載砲に向かい、そのまま切断。

空母の甲板上の攻撃機能はなくなった。


ん?

空母の甲板の横の床面が移動しているのが見える。

エレベーターだ。

戦闘機などを甲板に昇降するときに使うやつだ。

俺はその昇降エレベーターの方へ歩いて行く。

飛燕は収納している。

俺がある程度近づいて行くと、昇降エレベーターが上がって来ていた。

先ほどの武装ロイドが乗っている。

数にして30機ほどだろうか。

それらが昇降エレベーターから甲板に移動すると、またエレベーターが下がって行く。

武装ロイドが5機ずつの単位で集まって、俺の方へ近づいてくる。


◇◇

<連合国side>


空母の艦橋。

「おい、あれ・・人だよな。 いきなり甲板に現れた・・何者だ? それに艦載砲を蒼い光で斬り裂いていた」

「敵なのは間違いありません。 今、武装ロイドに甲板に出るように指示してあります」

「そうか。 それなら安心だな。 だが、あれは最後に制圧するための戦力だったが、仕方ない」

「はい。 おそらくあの甲板にいるものが、我々の艦隊の艦載砲を破壊して回っていた者の一人でしょう」

「ふん! あんな小さな人間に艦載砲がやられたのか? 敵もそれなりの武器は持っているというわけか」

いろんな会話が飛び交っていた。


「遠慮なく叩き潰せ」

艦橋でその指示を聞いたオペレーターが、武装ロイドの隊長に指示を伝えていた。


◇◇

<アニムside>


俺の後ろの方では、ワイバーンの部隊が戦艦を撃破していっているようだ。

バジリスクなどの地上部隊からも、攻撃したりしていた。

戦艦の艦載砲が無くなったのが良かったようだ。

ミサイルなどは初めだけ発射されていたが、途中からなくなっている。


空母に現れてくる武装ロイドだが、俺の方に来るのと地上へと降下するのとに分かれている。

俺の前に来るのが20機ほどだ。

武装ロイド達が、俺に銃を向けて発砲する。

こいつら何の迷いもなく銃撃してくる。

なんというか、兵士として優秀というべきか、情け容赦ないというか。

おかげでこちらも迷うことはないが。


さて、先ほどの武装ロイドと同じだ。

銃弾だろう・・虫みたいな塊が飛んでくるのが見える。

俺はそれをかわし、甲板上を移動する。


◇◇

<連合国side>


武装ロイドに搭乗している隊長。

「ブラックリーダーから各機へ」

「ブラックワン、感度良好」

・・・・

「ブラックワン、ブラックツーは地上へ降下。 残りは前面の敵をもてなそう」

「「「了解!」」」

会話が終わると、それぞれが行動を開始していた。

昇降エレベーターは、武装ロイドを吐き出すとまた下がって行く。


「リーダー、敵は一人みたいですね。 あんなチビに艦載砲がやられたのですか?」

「油断するな。 一人で乗り込んで来ているということは、それなりの戦力なのだ」

「「ハッ!」」

隊長はそう言いつつも、武装ロイドの訓練の状況を知っていた。

攻防共にほぼ無敵のような状態。

そして、この武装ロイドは単機で戦艦も破壊することができる。

問題ない。

誰も疑わないだろう。

ただ、この部隊は少し前に降下していた武装ロイドの戦闘を知らない。

「敵の持っている武器が光っているぞ! 警戒しろ」

隊長がそう声を出す。


◇◇

<アニムside>


俺は、飛燕に魔法を込めて剣を蒼くまとう。

2、3歩軽く歩くと敵がバルカンを撃ってきた。

それをかわしながら敵まで一気に近づく。


敵はどうやら俺の動きは把握できていないようだ。

蒼い剣を横薙よこなぎに振るう。

やはり手ごたえはほとんどない。

スパン!!


◇◇

<連合国side>


「「は、速いぞ!」」

「「み、見えない!」」

「どこだ?」

「・・蒼い光が線を引いている・・」

「うろたえるな! 訓練通りにやればいい」

「「は、はい!」」

・・・

武装ロイドをまとっている兵士たちが叫んでいた。

蒼い光が動くたび武装ロイドが消える。


20機ほどの武装ロイドだが、すぐに消滅した。

空母の艦橋からも蒼い光の線が見えていたようだ。

「い、いったいどうなっているんだ?」

艦橋では誰とはなくつぶやいていた。

オペレーターが叫ぶ。

「前方に魔物接近!」

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