第358話 この敵の兵器、見た目はカッコいいのだが



◇◇

<連合国side>


「て、敵が接近してきます」

「かなり速いぞ!!」

武装ロイドの集団がざわついていた。

「こちらレッドリーダー。 訓練通りに対処しろ」

「「り、了解!!」」


◇◇

<アニムside>


俺は武装ロイドの中を一気に奥まで移動して抜刀。

魔法を込めて片手で飛燕を持つ。

飛燕が蒼く輝き、その光が大きくなる。

後方に位置している武装ロイド群が俺の方を向き、バルカンを俺に向けて撃ってきた。

敵とはいえ、遠慮なく撃ってくる。

やはり戦争なんだ。

俺はそんなことが頭に浮かんだが、軽く頭を振り集中する。

前に藤岡のところに行くときに立ち寄った街で弾丸が見える気がした。

そして飛んでくる小さな物体を斬ってみた。

実際にそれが弾丸だったが、今回は数が違う。

虫の集まりみたいなものがいっぱい迫って来る。

いくら見えているとはいえ、弾丸は弾丸だ。

当たれば痛いだろう。

俺はそれらをかわして移動しつつ、飛燕を振るって武装ロイドを斬ってみる。


スパッ!!

ほとんど手ごたえがない。

そのまま移動速度を上げて、斬っていく。

スパン! スパン! スパン!

・・・

・・


◇◇

<連合国side>


「た、隊長! 攻撃が当たりません! 速すぎます!!」

悲鳴に近い報告が聞こえる。

「騒ぐな! 常に冷静を保て」

そう指示を出しつつも、眼前の光景を見るとどうしようもない。

蒼い光の筋がユラユラと揺れたかと思うスパッと移動する。

その度に武装ロイドが消えていく。

「な、なんだ、あれは・・人なのか?」

隊長はそんな言葉をつぶやいていた。

そして、その流れる蒼い光を見つめながら武装ロイドの訓練時のイメージが浮かんでいた。

・・・・

・・

「これは何ですかな?」

隊長が、異世界人たちに聞いている。

「これは、魔核を埋め込んだ鎧とでも申しましょうか、装備したものの能力を向上させるものです。 鎧というよりも一種の乗り物とでも言った方がいいでしょう」

そんな話をしながら、武装ロイドと名付けられていると説明してくれた。

実際、その戦闘力を見て驚いた。 

想定外とはこのことか。

自分たちの攻撃と比べると、破壊力が凄まじく違う。

防御力もある。 

魔法なども受け付けない。

動きも、搭乗者の意思に反応して重量感も感じさせず、まるで自分の身体と同じように動いていた。

素晴しい。


搭乗させてもらって、模擬戦闘訓練も行ってみた。

生身の訓練と同じような感覚で行えるが、威力が絶大だった。

移動速度も速い。

これなら一人で戦艦に対抗できるかもしれない感覚がある。

実際、戦艦に対してどれだけ動けるかも試してみた。

砲弾を直接受けても、ダメージはない。 

衝撃は感じる。

だが、動いていると当たることも少ない。

サーベルなどで突きを繰り出すと、個人技にもよるが、ほぼ必殺技と呼べる威力を発揮する。

戦艦も撃破できた。

武装ロイドに使われている魔核はレベル25ほどだという。 

自分たちのレベルと同等か少し高いレベル。

同等レベルの者でも、自分の能力が遥かに向上したように感じる。

当然、隊員たちは狂喜する。

隊長も例外ではない。

だが、魔核を超えるレベルに対することは教えてもらってはいなかった。


◇◇

<アニムside>


俺は移動しながら魔法でおおった飛燕を振るっている。

感想・・もろすぎる、遅すぎる。

何だ、こいつらは? 

魔物の方が強い。

あのタイタンなんて半端じゃなかったぞ。

そう思いつつも、攻撃を緩める気はない。

弾丸に気を付けていればいい。

相手が装甲をまとったまま剣を振るったりしてくる。

飛燕で受け流そうとしてもそのまま相手の剣が斬れる。

その流れで相手を斬り、俺は移動する。

俺の後ろではフレイアの矢が遠慮なく相手の武装ロイドを貫いていた。


◇◇

<連合国side>


幸か不幸か、レッドリーダーは一番奥で現状を見ることができていた。

当初、地上に降りたときには無敵のような感覚を持っていた。

前方に敵らしき対象を発見。

それからだ。 

なんだこれは・・。

次々と武装ロイドが消えてゆく。

あの蒼い光が揺れ動くたびに消える。 

白い光が飛んでくるたびに消える。

何が起こっているんだ?

魔法で防御された、この武装ロイドは戦艦にも匹敵する戦力じゃなかったのか?

実験ではすさまじい実績を叩き出していた。

なんなのだこれは? 

相手はその戦艦をもしのぐ戦闘力を持っているというのか?

そこまで考えた時だった。

残っているのは自分一人だけとなった。

遠慮なく蒼い光が迫って来る。

レッドリーダーは無言でその蒼い光の方へ発砲。

敵はよく見えない。

次の瞬間に見えた!

蒼い光が目の前から自分を貫いて行く。

『・・あぁ・・いったい、なんだったのだ・・』

レッドリーダーはそう思うと、消えていった。

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