第342話 やっぱバカなのか、シルビア


シルビアの身体が紫色、アメジストのように輝くと転職が完了したようだ。

ふむ・・見た目は全然変化してないな。

胸は大きいままだ。

身長もそれほど変化していない。

髪も・・う~ん、そんなものか。

胸もでかけりゃいいってものじゃない。 

バランスがある。

今のままでも凄いからな。

ただ、見ているだけでエロい。

今までもかなりのものだったが、何と言うか色っぽいという言葉すら浅い。

勝手に引き寄せられるようなエロさだ。

何だこれ?

ヤバいんじゃないのか?

だが、尻を触ろうものなら手がもがれそうな恐怖も伴う。

触れたくてしょうがないが、触れると死ぬような、そんな死を伴う魅力を感じる。

俺は一人納得していた。


「シルビア、転職して何か身体に変化とかあるのか?」

俺は思いつくままに聞いてみた。

シルビアは身体を軽く動かして、いろいろ確かめているようだ。

動くたびにプルン、プルンと揺れる胸。 

いいぞ!

俺の目は胸だけを追っている。

少しして、シルビアがゆっくりとこちらを見る。

「テツ、何が変わったということはないが、身体が軽い感じがする」

そう言って、少し身体を動かしてみるという。

俺から離れて動き回っていた。


実は俺もレベルが上がっていた。

この階層に来て、シルビアが矢を放つ時に邪魔なレベルの低い魔物を倒した時に上がっていた。

チェックするタイミングがなかったが、今チェックしてみよう。

ステータスオープン!


テツ(ランクA)

レベル:42→43

種族 :人

HP :710/740 +25

MP :500/550 +20

力  :628     +10

防御 :590     +15

敏捷 :802     +15

技能 :503     +10

運  :72      

職業 :賢者10


固有スキル 

罠解除☆

上忍術☆

鑑定☆

アイテムボックス☆

自動回復☆

祝福☆+β

魔法耐性☆

調理4

神光気1


!!

職業がMaxの10になっている。

次があるのか?

俺はかなりドキドキしていた。

すぐに職業のところをタッチしてみる。

他の項目などみていなかった。


表示される職種がある。

『大賢者』『仙人』『超人』

・・・・

自分に問いたい。 

なんだこの選択は?

俺って、変な思想でも持っているのか?

いや、そもそも思想を持ってない人間なんていない。

なければ生きていけない。 

それぞれが見ている世界が違う。

意識していないからわからないだけだ。

スキルにしても職にしても個人で違う。

次に来る職がバラバラだ。 

そして他人には存在しない職もある。


それにしても仙人って・・俺、そんなに世捨て人なのかな?

・・・

いや、あの嫁と一緒にいるからな。

達観した見方をしているのかもしれない。

もの凄く良い見方をすれば、嫁のおかげということになるが・・。

俺は頭を振る。

決してそんなことはあってはならない。

結果から道筋を見ると、とても不思議な出会いの連続のような気がすることもある。

だからって違うだろ!

まぁいい。

それにしても大賢者って、魔法そんなに使ってないぞ。

ただ、超人・・この響きはいい。

見た瞬間にそう思っていた。

しかし、即転職してもいいものか・・ここが俺の優柔不断なところでもあり、安易にカスを引くタイミングでもある。

迷って、良いものを失うし、取り損ねるかもしれない。


だからこそだ。

直感で決めて来ただろ! 

そう直感を信じる。

どうせアニム王と出会ってなければ死んでいたかもしれない。

よし!!

俺はそう思い、『超人』を選択、タッチする。

その瞬間に、目の前が真っ白になる。

これって、あの神殿で転職した時の・・。 

そう思ってみるが、どうしようもない。

俺の周りにゆっくりと優しい暖かい春風のような空気の流れを感じると、そのまま天の声のような実際に聞こえるような言葉がする。


『・・おもしろいね・・』


そう聞こえたのかどうかわからないが、それを感じるとすぐに視界は戻った。

シルビアが遠目に走っているのが見える。

それほどタイムラグはないようだ。

・・・・

いったい何だったんだ?

あの空間というか意識の中というか、俺だけに感じれる世界。

圧迫感や閉塞感はない。 

不思議な感じだった。

時間もあるのかどうか怪しいが、考えてもわからない。

それよりもステータスを確認だ。

超人だろ? 

まさか、スーパー〇〇ヤ人になれるんじゃないよな?


テツ(ランクA)

レベル:43

種族 :人

HP :710/740 

MP :500/550 

力  :628     

防御 :590     

敏捷 :802     

技能 :503     

運  :72      

職業 :超人1


固有スキル 

神武夢想しんぶむそう

自動回復☆

祝福☆+β

神光気しんこうき

調理4


なるほど、職種は超人ってなってるな。

でも、種族は人のままだぞ。 

超人という職業って・・俺は深く考えるのはやめた。

さて、スキルだが禅語みたいなものがある。

確かに、そういった分野は好きなのだが、神武夢想しんぶむそうってなんだよ。

神武不殺しんぶふさつならわかる。 

武術の極意を体得して無双レベルだが、人を決して傷つけない。 

刀も鞘から抜かれることはない。 

相手を武力で制圧するのではなく、その存在だけで相手に戦う意欲すら失わせてしまう。

そういった次元すらも超えたものじゃなかったかな?

剣術家、針谷夕雲はりがやせきうん相抜あいぬけという心境もそういったものじゃなかったっけ?

それに夢想って・・これも剣術家、伊藤一刀斎の夢想剣を連想させるけど・・。

まぁいい。

とにかく、俺の個性が反映されたスキルなんだろうと思う。

そして、今までのスキルが集約されたというわけか。

人に言えるようなスキルじゃないな。

言えば、アホ扱いにされるし痛すぎるだろ。

理解できないんじゃないか?


俺が自分のステータスに引いていると、シルビアが帰って来た。

「テツ、まさかこれほどの身体能力になるとは思ってもいなかったよ」

シルビアが俺の目をしっかりと見つめ、嬉しそうに言う。

俺も思う・・シルビア、それほどのたわわな胸も凄いぞ。

心の声です、はい。

シルビアが少し震えていると思ったら、いきなり抱きついてきた。

「テツ!! 本当にありがとう!!」

うぐ・・結構、力強いなシルビア。 

しかし、嫌じゃないぞ。

!!

そのまま熱くキスされた。

い、息が・・俺はシルビアを引き離した。


「はぁ、はぁ・・シルビア、うれしいからと言って犬じゃないんだぞ」

「うぅ、すまない。 だが、あまりにもうれしかったものだから、ついその・・」

少し涙目になっている。

「えっと、シルビア。 シャドウエルフになって身体が軽い以外に、何か変化はある?」

俺の言葉にシルビアが考え込んでいる。

・・・

おい、お前の職だろ!

やっぱ、バカなのか。

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