第335話 学校を後にして
「ヘレメス、とにかくありがとう」
「こちらこそお役に立てずに申し訳ありません。 それよりも改めて納得できました。 これほどの強さをお持ちとは・・ミラン殿などが絶賛されるわけです」
ヘレメスが苦笑しながら言う。
そして、付け加えて、
「テツ殿・・魔法もそうですが、武技も基本はイメージなのです。 そのイメージを固定化するために、魔法なら詠唱したり、武技なら技名を言いながら繰り出すのです。 そのイメージがテツ殿は、何と言うか・・規格外というか、私の想像しているものと違いますね。 すみません、うまく言葉にできなくて」
ヘレメスが言いにくそうに話していた。
「いや、ヘレメス・・本当にありがとう。 今の言葉を聞けただけでも、これからも自分を鍛えることができるよ」
俺はそんな話をしながら、ヘレメスと一緒に受付のところまで戻って来た。
時間は8時。
学校は、どうやら授業が始まるらしく、それぞれの教室へと生徒が集まっていたようだ。
生徒たちと接触しなくて良かったよ。
俺は内心ホッとした。
受付の人に挨拶をする。
「ありがとうございました。 また、今度伺わせてもらいますね」
俺の言葉に受付の人はにっこりとして、いつでもどうぞと言ってくれる。
感じがいいな。
!
「あ、学園長に挨拶しておきたいのですが、どこにおられます?」
受付の人に聞いてみた。
「はい、学園長は各教室を回られていると思うので、何か
受付の人は丁寧に対応してくれる。
「そうですか。 では、今日は勝手にお邪魔したのに、丁寧に対応してくださってありがとうございます、とお伝えください。 よろしくお願いします」
俺はそういうと、深くお辞儀をして受付を後にした。
ヘレメスにもお礼を言って学校を出て行く。
とにかく、学校というところの雰囲気は味わうことができた。
やっぱり基本は大事だと思う。
俺はレベルによる恩恵が大きい。
それに自惚れないようにしないと・・俺はそう思いつつ、困ったときのギルド頼みと思いギルドへ向かって歩いて行く。
歩いて行く途中で、ドワーフの店を通過する。
店のドアが開いておっさんの声がした。
「おはようございます、テツさん!」
俺は声のした方を思わず向いてしまった。
ガルムのおやじがニコニコしている。
「先日は、お世話になりました。 おかげで良いものが納品できました。 ありがとうございます」
ガルムのおやじがお辞儀をしている。
俺もうなずいて、そのまま行こうとすると、ちょっと待ってくれという。
「テツさん、実はですね・・」
嫌な予感がする。
ガルムのおやじはお構いなしに続ける。
「実は、またレベルのある魔石が欲しいのです。 今度は王宮側からも依頼されているのですが、低いレベルの魔石ではできないのです」
ガルムが説明してくれる。
どうやら、魔石で聖属性の武具を時間があるときに作れるだけ作って欲しいという。
王宮でも作っているが、いくらあってもいいそうだ。
ギルドに依頼を出そうにも、そこまでみんなレベルが高くない。
それに高いレベルの魔石なら、売らずに自分の武具にしたりするという。
そりゃそうだろう。
・・・・
・・
そんなことをいろいろ聞かされた。
時間は9時前になっている。
「どうでしょうか。 また、魔石を調達してくれませんか?」
ガルムは俺の方をジッとみている。
俺も別にこれといってやることもない。
レベルも上がるだろう・・たぶん。
そう考えると、ガルムのおやじに「いいですよ」と返事をした。
ガルムはとても喜んでくれた。
俺は店を後にする。
ダンジョンへ行くといっても、まずは一呼吸だ。
俺はそのままフレイアのカフェに向かった。
あ、そういえば、フレイアは学校へ通っているんじゃなかったっけ?
俺はそう思いつつ、カフェのドアを開けてみる。
カラン、カランとドアに付いている鈴が音をたてる。
こういった手動っていいな。
俺はそう思う。
「いらっしゃいませ!」
フレイアの声が聞こえ、こんなに早くからお客さんもいるのかと思いながらカウンターの方へ向かって行く。
「あら? テツじゃない。 どうしたの?」
フレイアが聞いてくる。
「いや、こちらこそどうしたのだよ。 フレイア、学校に行ってるんじゃなかったのか?」
フレイアはどうやら行ったり行かなかったりと、自由に過ごしているようだ。
なるほど・・俺は、ガルムのおやじの依頼内容を話してみた。
「そうなんだ。 でも、今の私では力になれないわね。 このカフェもそうだけど、学校もあるしね。 でも外の世界に行くときは声をかけてね」
フレイアはそういって申し訳なさそうな顔をしていた。
「そうか。 それは残念だな」
俺がそうつぶやくと、
「まぁ、せっかく来てくれたのだから、一杯飲んでいったら。 それにもうすぐ、常連も来るしね」
フレイアが意味ありげな言葉を発しつつ、座るように
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