第310話 ダンジョンへ



俺は呼吸を整えて話してみる。

「おやじさん、それじゃぁ、それくらいのレベルの魔石を集めてくればいいんだね」

「テツさん・・簡単にいいますね。 レベル35以上って言ったら、普通の魔物じゃありませんよ。 災害レベルになります。 よくもまぁ・・」

ガルムは呆れるやら、うれしいやら、複雑な表情を見せる。

「・・本当に、お願いできますか? 報酬は多めに支払わせていただきます」

ガルムのおやじがでかい身体を曲げて、俺に頭を下げていた。

「いや、おやじさん、そんなにあらたまらなくてもいいですよ。 おやじさんには前に魔石も買ってもらっているし、これからもお世話になるでしょう。 こちらこそやらせてもらいますよ」

俺がそういうと、でかい手で俺の手を握ってきた。

「ありがとうございます!!」

ガルムのおやじが涙目になっている。


おやじ、気持ち悪いから離れろ!!

心の声です、はい。

俺はガルムのおやじの依頼を受け、ドワーフの店を後にする。

そのままダンジョンへ向かった。


ダンジョンの入口を通過し、ゆっくりと階段を降りながらパパパ・・と階層をカウントさせている。

タイタンだけは遠慮したい。 

ソロでまだ勝てるとは思えない。

というか、相性が悪そうな感じがする。

・・・

ヒュドラ辺りが一番効率がいいんじゃないか?

だったら42階層だよな・・タイタンは41階層だったと思ったが、ま、行って違ったら引き返せばいいしな。

俺はそんなことを思いながら42階層をカウントさせて、階段を降りて行った。


42階層に到達し、フィールドを見ると背丈の高い草が多くあった。

間違いない。 

ここでサーペントやヒュドラがいたんだ。

蛇系は嫌いなんだが、戦うと相性がいいような気がする。

魔法を込めた剣できれいに斬れたしな。

さてと・・索敵をしてみる。

ピピピ・・・。

サーペント:レベル37×2、ハーピー:レベル36×4、ヒュドラ:レベル41・・後はそれほどレベルの高い魔物はいない。

ハーピーがいたのか。 

忘れていた。

前は投網とあみみたく魔法のネットで絡めたが、大丈夫だろうか。

魔法で仕留める・・いや、いきなり大きな魔法を撃ってガス欠にでもなったらシャレにならない。

!!

シルバーがあるじゃないか!

魔弾も寝る前に毎日作っている。

案外行けるかも。 

しかし、シルバーは保険だな。

ソロだが何とかなるだろう。

俺はそんなことを考えつつ、一番近いサーペントへと近づいて行く。


俺の前200メートルくらいのところだろうか。

仲良く2匹でウネウネとっている。

その後ろ辺りの地上にハーピーが3匹いる。 

1匹は上空にいるようだ。

ヒュドラはその先、俺から見ればサーペントと倍以上は離れているだろう。


さて、俺の気配は見えにくはずだ。

こちらが攻撃をしかけるまで気づかれることはないと思いたい。

どうしたものか。

いきなり斬りつけると、サーペントは倒せると思う。

直後にハーピーが来るよな。

先にハーピーにネットをかぶせて動きを封じるのもアリか。

上空のは切ればなんとかなるかな・・・軽くそんな戦術を立ててみた。


よし!

サーペントまで70メートルくらいになっている。

ハーピーも等間隔で移動している。

俺はハーピーにネットを被せるイメージを持って魔法を放つ。

「そりゃ!」

地上のハーピー3匹に白く光る網がおおかぶさる。

ハーピーはいきなり目の前に現れた白い網に驚いていたようだが、そのまま網の中でもがいていた。


戦闘開始だ。


サーペントにも気づかれ、上空のハーピーにも気づかれる。

確か、ハーピーの足のところに麻痺爪があると言ってたよな。

そう思いつつ飛燕を抜き、刀身が大きくなるイメージを描く。

刀の付け根部分からあおい光が急速に広がっていく。

蒼い光の大きな剣ができた。 

前の時と同じような感じだ。

長さも電柱くらいはある。

その蒼い光の剣を向かってくるサーペントに向けて水平に薙いだ。


ざん


手ごたえはほとんどない。

空振りのような感覚で動く。 

速度も普通に飛燕を振る速度で斬ることができた。

もう1度水平にいで、前進。

残り1匹のサーペントにも返す刀で水平に斬る。

きれいに斬れているようだが、確認するよりも上空からギィギィと言って迫って来るハーピーがいた。

かなりの速度だ。

サーペントを薙いだ勢いのまま、右足を一歩踏み出し下から上に向けて蒼く光る剣を斬り上げる。


ブン!!


空気を斬ったような感じだが、ハーピーは真っ二つになって地上へ落下してくる。

落下して地上へ落ちる前にサーペントと一緒に蒸発していた。

ネットに絡まった3匹のハーピーがギィギィと叫びながらもがいている。

少しかわいそうな気がするが、そのままネット越しに飛燕を突き入れて3匹のハーピーを倒した。

周りにはサーペントとハーピーの魔石が転がっている。

ヒュドラはまだまだ近くには来ていない。

俺はそれらの魔石を回収すると、飛燕を収納しゆっくりとヒュドラの方を見た。

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