第305話 新しい家の完成



「まぁ、要らなければいつでも魔法でどうとでもなるしね」

俺は軽く言ってみた。

「それに、ゲストハウスみたいに、誰か来たときに泊まれる家としてもいいかなって・・今思った」

そう付け加える。

「ゲストハウス・・」

フレイアがそうつぶやきながら、うなずいている。


そうと決まれば、ギルドへ行って来よう。

俺では家は作れない。

作れるのかもしれないが、イメージが浮かばない。

やっぱ、エレンさんだな。

時間は8時前だ。

「フレイア、俺ちょっとギルドへ行ってくるよ」

フレイアもついてくるという。

俺たちは一緒にギルドへ向かった。


ギルドに到着し、中へ入ってみる。

早い時間帯だが結構人がいるな。

俺は受付へ行って、パネルにライセンスカードを通してみる。

フレイアは掲示板を見に行った。

待ち人数は3人のようだ。

すぐだな。

そう思って、ギルドの中を見渡してみた。

みんないろんなタイプがいるな。

弓使い、剣使いに魔法使い。

なにも持っていないのは、素手で戦う格闘家か?

あの子なんて、女の子だろ?

俺は勝手にそんなことを考えながら、ボォーッと見ていた。


俺の順番が来たようだ。

受付に行く。

「おはようございます、テツ様」

ロディーネだった。

「おはようございます。 ロディーネさん、エレンさんはられますか?」

俺は聞いてみた。


「はい。居りますが、どういったご用件でしょう?」

「えぇ、実は敷地内に家を作りたいと思って・・」

俺は新しい家を建てたいのだが、自分の魔法ではうまくできそうにないので相談に来たと伝える。

「わかりました。 ではお取次ぎ致しますね」

ロディーネはそういうと、エレンさんを呼び出してくれる。

俺は席を立ち、横の壁際で待っていた。


ロディーネは取り次いだら、次の接客をしている。

忙しいな、受付は。

俺がそんなことを考えていると、エレンさんがやってきた。

「おはようございます、テツ様。 ロディーネから聞きました。 早速行かれますか?」

俺は二つ返事で答える。

フレイアも一緒にエレンさんと俺の家に向かう。


家の敷地に到着。


「テツ様、どういった家にされますか?」

エレンさんはそういうと、ボードを取り出した。

「はい、2階建てで、2階には泊まれる部屋があるのと、1階は人が食事とかできるスペースがあるような家がいいですね」

俺は基本はそんな感じで、と伝えてみた。


エレンさんがボードから、俺の要求に合うような家をピックアップしてくれる。

パッ!

パッ!

パッ!

と見せてくれるが、大体同じような感じになるんだなと思った。


「テツ様、基本はみな似ております。 建ててから改築することもできますから、お気軽に選んでくださいね」

エレンさんが軽く言ってくれるので、気持ちが楽になった。

「エレンさん、このタイプでお願いします」

「かしこまりました。 この場所でいいですか?」

俺はうなずき、エレンさんがすぐに家を建ててくれた。

ほんとに一瞬だな。

改めて思う。

こじんまりとした家だ。

他の家の邪魔にはならない。

目立ちすぎもしない。

いいだろうと思う。


「エレンさん、ありがとうございます」

エレンさんはにっこりとしてうなずいてくれた。

「あ、エレンさん、おいくらになりますか?」

俺がそういうと、エレンさんは微笑みながら答える。

「いえ、費用は発生いたしません。 これも、ギルドの仕事ですから」

「え、そうなんですか?」

俺は聞き直した。

「はい。 きちんとギルドから私に支払われます」

俺はそれを聞いて安心した。

エレンさんにお礼を言うと、エレンさんはギルドへ帰っていく。


「テツ、中に入ってみてもいい?」

フレイアがワクワクした雰囲気で聞いてくる。

「どうぞ」

俺はそう答えてフレイアの後から中に入ってみる。


1階には大きなリビングがある。

奥に2つ部屋があった。

2階には部屋が2つ。

どちらも寝室のようだ。

後はベランダが出来ていた。 

ちょうどリビングの上のようだ。

小さい作りながらも、結構おしゃれな家だ。

後は小物や家具なんかを作ればいいわけだが、こんなのはばあちゃんが好きそうだから、帰って来てみんなで一緒にやってもらおう。

これでみんなが一緒に集まる場所ができたな。

まぁ、今さらという気はするが、それでもないよりはマシだろう。


俺的には、家族のスタイルというのは、それぞれが生きているだけでいい。

存在価値を認めることが大事だと思っている。

それも無条件に。

それが家族になるんじゃないのかな。

形じゃなくて、裸の心になれる場所。

人それぞれ考えが違うが、無条件で認めてくれる人なんて、家族以外にいないだろう?

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