第306話 小さな家を作ってみたものの



・・・テ・・・

・・テツ・・

「テツ!」

俺は、ハッとして声の方を向いた。

フレイアだ!


「あぁ・・何? フレイア」

「あのね、何じゃないわよ。 呼んでも下を向いて黙っているし・・」

「そうか・・すまないな。 少し考え事をしていたんだ」

俺はそう答える。

「そう・・それならいいけど。 この家、いいわね」

フレイアはうれしそうに言う。

「そうか、ありがとう。 後でみんなが帰ってきたら、いろいろ話してみよう」

俺がそういうと、フレイアもうなずいてくれた。

時間は9時30分頃だ。


「フレイア、俺・・少し寝ていいかな?」

「・・そっか、テツは動き過ぎだものね。 いいんじゃない?」

フレイアは散歩がてら学校でも見てくるという。

俺は新しい家の2階に行き、魔法で身体をきれいにする。

即席ベッドに座り、いつも通り寝る前に魔弾を作ろうと思った。

ドキドキしながら思う。

スーパーノヴァ、作ってみたい。

・・・

いや、ここではまずいだろう。

俺は取りあえず気持ちを抑え、切り替える。


さて、火球の魔弾はかなりあるし、氷系もあるよな。

俺は魔弾の種類を考えていた。

・・・・

!!

そうだ。 

やっぱりフレアだ。

俺は静かに集中して、太陽から噴き出す炎の柱をイメージしながら魔弾を作る。

・・・

・・

結構しんどいな。

身体がだるく感じる。


手の平の上には、真紅の玉が出来ていた。

本当に燃えてるような色だ・・熱くはないが。

それをアイテムボックスにしまって、ベッドに横になった。

魔弾を作ったのもあったのか、すぐに眠ることができた。

・・・・

・・

周りで声がする。

騒がしい感じだ。

目を開けると、凛がいた。


「あ、パパ起きた? 新しい家ができてるね。 凛ね、学校でね・・」

凛がマシンガンのように話してくる。

俺はベッドに起き上がり、凛の頭を撫で話を適当に聞きながら服を着た。

時間は14時30分くらいだろうか。

ザワザワしていた。

俺は凛と一緒にリビングへ向かう。


リビングでは、嫁、お義母さん、颯、優、レイアそしてフレイアがいた。

満員だろう。

「あ、パパさん」

嫁が話しかけてくる。

俺が嫁の方を向くと、顎を軽く突き出して言う。

「何、この家。 庭に邪魔なんだけど・・」

いや、いきなり邪魔って・・それに庭では何もしてないだろ。

俺はそう思いつつ、反論。

「いやね、優もレイアと暮らしてるし、こんな小さな家でみんなが集まれる場所があればいいかなって・・そう思ったんだ。 みんなに聞いて、要らなければすぐに消せるから・・」

俺がそういうと、お義母さんが口を開く。

「私は、いいと思うわよ。 みんなで集まれる場所って・・」

「そうだね。 ばあちゃんの言う通り、俺もいいと思う」

優が援護射撃をする。


「そう・・ね。 ま、みんなでバーベキューみたいな感じで集まるのもいいかもね」

嫁が最後に発言する。

こ、こいつは!

俺の言う言葉にはすべて否定から入るのに、お義母さんの言葉はイエスかよ! 

俺はそんなことを考えながら、俺の周りでウロウロする凛を抱っこした。

こいつには何を言ってもダメだな。

放っておこう。

俺は凛の方を向いて微笑みながら聞いてみた。

「凛、学校どうだった?」

凛が目を大きくして話はじめる。

「うん! えっとね、いっぱい人が来ててね。 凛は、魔法の教室に行くことになったの?」

凛がうれしそうに話してくれる。

「魔法の教室?」

俺はオウム返しでつぶやく。


「うん。 それでね、今日は教室に行ったのだけれど、いっぱい人がいて、ばあちゃんもいたよ」

凛がそういうと、お義母さんがうなずきながら笑っていた。

「そっか、それなら安心だな」

「うん。 それでね、明日は試験があるの」

凛が教えてくれる。

「試験?」

俺がそうつぶやくと、フレイアが説明してくれる。

「そうなのよ。 クラス分けをして、後はどれくらいの能力があるのかをチェックするのよ」

「なるほど・・優たちも、もしかして学校へ行ってたのか?」

俺が聞くとうなずいてくれる。


「優さんは、武技を磨くクラスですよ」

レイアが教えてくれた。

優、もうすっかりレイアにしつけられているな。

「そうか・・で、レイアは?」

「はい、私も凛ちゃんと同じで、魔法クラスです」

俺はそれを聞きながら、意外だなと感じた。

フレイアは弓に特化してるし、エルフって弓のイメージがあったが。

まぁ、それぞれ個体差があるのだろうな。


俺は顔を嫁の方へ向けて聞いてみる。

「で、嫁さんと颯はどんなクラス?」

「私は弓術系のクラスよ。 颯は魔獣などを育てるクラスだったわね」

嫁が答えていた。

こいつは自分の発言が、相手を傷つけている自覚はないのだろうな。

よく平気で普通に発言できるよな。

俺はそう思いながらも、学校のことを考えていた。

そうか・・いいものだな。

誰でも通えて学べる。

う~ん、楽しそうだ。

俺も通おうかな・・そんなことが頭をよぎる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る