第246話 ふらりとダンジョンへ


聞けば、住人にはナンバーが振り当てられているという。

それにいろんな情報が組み込まれていて、人違いは起こることはないそうだ。

なるほど。

だから買い物や素材買い取りなんかでも、ミスがないわけだ。

帝都のシステム、やっぱ凄いな。

俺はロディーネに挨拶して、ギルドを後にする。

フレイアも何も言わずについて来てくれている。

「フレイア、このままダンジョンへ行っていい?」

フレイアが少しピクッとなるが、うなずいてくれた。


まだまだ朝は早い。

街もそれほど起きていないので、静かな街をダンジョンへと向かう。

時間は6時30分だ。

すぐにダンジョンへ到着。

入り口でチェックを済ませ、階段を降りていく。

階層のカウントを42に合わせて、フロアに到着する。


前はとりあえずカウントさせただけだったからな。

タイタンみたいな魔物はもういらないぞ。

そう思っていた。


ゆっくりと歩いて奥へ進む。

結構背の高さのある草が多い。

索敵をしてみる。

ピ・・ピ・・

サーペント:レベル37、ハーピー:レベル36×3、ヒュドラ:レベル41。

距離はあるが、初見のやつが2体いる。

サーペントが目の前で一番近い。

その後ろ、400メートルくらいだろうか、そこにハーピーが3体まとまっている。

そのさらに奥に、ヒュドラが待機していた。


「フレイア、敵がいるが・・サーペント、その奥へ向かってハーピーとヒュドラがいる」

俺がそういうと、フレイアが少し驚いていた。

「え、ヒュドラがいるの? 面倒だわね。 これくらいの魔物になると、戦った人なんてほとんどいないと思うけど、話は伝わってるのよ」

・・・・・

・・

聞けば、ヒュドラは5本首を持つ蛇タイプの魔物だそうだ。

簡単に言えば、サーペントが5体まとまったような感じだという。

それに毒を吐き、沼地に引きずり込んで戦うのを得意としているという話だ。

フレイアも記憶にある話の内容なので、自信はないそうだ。


ハーピーに関して言えば、まとまって攻撃してくるという。

超音波みたいな音を出しながら、こちらの感覚を狂わせるのだそうだ。

近寄ると、足のカギづめで引っかかれ、毒を入れられるらしい。

個体によって違うが、ほとんどが麻痺させるみたいだ。

また、手を持っていて器用に攻撃をしてくるという。

・・・

「なるほど・・」

俺はその話を聞きながら軽くうなずく。

「どのみち、順番に倒すとなれば、サーペント、ハーピー、ヒュドラになるな」

「そうね」

フレイアも少し緊張しているようだ。


俺は、ハーピーに対しては魔法で網のようなものをかぶせて動きを封じれば、何とかなるんじゃないかと考えていた。

その後で結界か何かで動きを封じる。

こちらの方がレベルも高いし、大丈夫だろう。

そう考えつつ、フレイアにも話してみた。

・・・・

「なるほどね。 それならハーピーは動けないわね。 弓で狙っても当たりにくい魔物だから」

ハーピーは羽で盾の役割をするのだそうだ。

直角に当たれば刺さるが、斜めに向かって行くと傷つきながらも、直撃を避けたりするという。

面倒なやつだな。


さて、まずはサーペントだが問題はないだろう。

ただ、生理的に俺が受け付けないだけだ。

サーペントがうねうねしながら近づいてくる。

まだ、俺達には気づいていないようだ。

俺達はサーペントの真正面に立って、その接近を待っていた。

お互いの距離が30メートルくらいになっただろうか。

こいつには正攻法でいいだろう。

真正面から斬りつける。

俺はそう思いダッシュする。

ダッ!

フレイアを置き去り、一気にサーペントまで駆け寄った。

俺の横をフレイアの援護射撃の矢が追い抜いて行く。

ヒュン・・。

サーペントにダダダッと刺さり、奇声をあげた。


「ギィェエェエェエーーー!!!」


サーペントがのけ反り、地上へ落ちてきたときに合わせて刀を振るう。

横薙ぎにしてから、頭と胴の部分の境目辺りだろうところを縦に斬る。

ザン!!

きれいに分かれたが、サーペントの尻尾がうねうねと気持ち悪い。

やっぱ、蛇だよな・・うぇ、気持ち悪・・。

しばらくすると蒸発した。

それが合図になったのか、ハーピーたちがこちらに近づいてくる。

かなりの速度だ。

接近だけ見ると、戦闘機のような感じだ。

・・・

ヒュドラはゆっくりと移動してくる。

のろいな。


俺は当初の予定通り、ハーピーたちに向けてネットを重ねるイメージを作ってみる。

「テツ! ハーピーの接近が早いわよ」

フレイアがかせる。

「わかってる!!」

俺も投げやりに答えつつ、魔法を発動した。

ネットのイメージは確実にできてるので、詠唱などは要らないだろう。

「そりゃ!!」

掌を前にして、ハーピーたちにかぶさるように網を打つ感じだ。


ハーピーたちの前面からバッと白く光る網のようなものが出て、覆いかぶさっていく。

3体まとめてネットでからめとった感じになった。

どうやら成功したようだ。

ハーピーたちは空中で姿勢を維持できなくなり、そのまま落下してきた。


ドーーーーン!!


地上に落ちてきて、ギィギィとうめいている。

俺は近づきつつも、フレイアの方をチラっとみた。

すでに弓を放つ体勢だ。

フレイアさん、容赦ないな。

フレイアは迷うことなく矢を放つ。

トシュ、トシュ、トシュ、トシュ・・・。

・・・

一体、何本放ったんだ?

俺がパッと数えただけでも10本くらいはあったぞ。

無論、全弾命中!

しばらくしてハーピーたちが蒸発していた。

フレイア、怖ぇ・・。

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