第157話 荷物を取りにいかなきゃ


ギルド専用のボードパネルを片手に、エレンさんがどんな家がいいですかと聞いてくる。

気に入った家があれば、ボードの上に家を表示してもらう。

立体に見える。

いろんなパターンがあるようだ。

いろいろ選択しながら、家を選んだ。


俺の住む土地に4つ家を建てることになった。

俺、優、お義母さんの住む家が3つ。

後は嫁と子供たちの住む家が1つ。


本当に一瞬で建つ。

みんな驚いていた。


それぞれがゆったりと過ごせる空間を持った家だ。

内装もそれなりに整っている。

まぁ、後は気に入らなければ、土魔法を覚えて改築すればいいという。

生活魔法が使えるなら、誰でもすぐに覚えられるそうだ。

ただ、家とかを建築するとなると、少しレベルが必要みたいだが。


「エレンさん、ありがとうございます。 ギルドマスターにもよろしくお伝えください」

俺は深く感謝した。

他のみんなもお礼を言う。

エレンさんは丁寧に応対してくれて、ギルドの方へ帰っていった。


優が自分の家ができたと大喜びだ。

凛と颯はそれぞれの家を行ったり来たりしている。

どうやら、優の家以外は自由に出入りするつもりらしい。


さて、帝都での住むところも確保できたし、俺は一度地上へ戻ろうかと伝えてみた。

「そうね、必要なものもあるし・・お母さんも家に取りに行くものあるんじゃない?」

「それほどないわよ。 テツさんの家に来るときに、必要なものは持ってきたしね。 それにもう今までのお金は意味ないから・・」

お義母さん、現実的だな。


「じゃ、とりあえず戻ってみますか」

俺はそう言うと、みんなで王宮へ向かう。

王宮のゲートの前には、見張りの人がいた。

さっきとは違う人だな。

交代したのだろうか。

ご苦労様だな。

俺達は軽く挨拶をして、俺がまずゲートをくぐる。

後からみんなが移動してきた。

やはり移動すると驚くようだ。

「うわ、ほんとに家につながってる」

「うん、どこ〇〇ドアみたいだね」

みんながそれぞれ同じようなことを言っていた。


ゲートでつながっていたのは、ばあちゃんの風呂場の扉だった。

扉にはペンダントが付いていた。

俺たちの声が聞こえたのか、ばあちゃんの声がする。

「誰かいるのかい?」

「あ、ただいま~、ばあちゃん」

凛が真っ先にしゃべりながら走って行った。

「あぁ、凛。 おかえり~」

ばあちゃんが凛をぎゅっとする。

俺たちがその後に入っていく。


「ばあちゃんただいま~。 帝都の家、もうできてたね」

俺の言葉に、ばあちゃんは即座に反応。

「うん、すぐにいろんな種類の中から選ばせてもらったよ。 で、テツを待っていたんだがね」

!!

「あ、そうか! 物を運ぶのだったね。 ごめん・・」

俺のアイテムボックスで運ぶ予定だった。

忘れてた


ばあちゃんは、持っていくものをリビングに集めていたようだ。

俺はそれをアイテムボックスにすべて収納する。

「へぇ~・・ずいぶん入るものなんだね。 便利なもんだ」

ばあちゃんは感心している。

「俺は持っていくものはないから、後は嫁さんたちだね。 先に、ばあちゃんたちを送ってくるから、荷物を用意しておいてね」

俺はそういうと、ばあちゃんたちと移動した。

結構バタバタしてきたな。

そんなことを俺は思いながらゲートを通り、帝都の王宮に出る。

出ると、毎回一人監視員だろう人がいる。

ほんとに申し訳ない感じになる。

俺たちのためだけにゲートを作ってもらって、ここで見張り番みたいなことしてるのだろう。

軽く挨拶をして、ばあちゃんたちの家に移動した。

俺たちの家の横だからわかりやすいな。


王宮から歩いてすぐだから、楽といえば楽だ。

ばあちゃんたちの家の前に到着。

横に家が4つ建っている。

「あれ? さっき来たときにはなかったのに・・」

ばあちゃんが不思議そうに言う。


「ばあちゃん、これ・・俺たちの家なんだ」

「へぇ、そうかい。 テツたちもこっちで暮らすんだね」

「うん。 で、やや大きい家が、嫁たちの家。 後は、お義母さんと俺と優の家なんだ」

俺は説明する。

「なるほどねぇ・・それがいいかもしれないね。 でもまぁ、それぞれの家がこじんまりとしていい感じじゃないか」

ばあちゃんが感想を述べる。

確かに、同じ土地の広さなのに、俺の方は4つの家、ばあちゃんの方は1つの家が建っている。

家の広さは俺たちの方が狭い。

当然だな。

1つの家がコンテナよりも少し大きい感じのキューブ型の家だ。

それが4つ。

それでも割り振られた土地空間は狭く感じない。

俺は家を眺めながら思っていた。

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