第112話 優・・ドキドキだろうな


「確かに・・テイムできれば問題ないか」

シルビアはそうつぶやきつつも、不安そうだった。

そんなシルビアを見ながら俺は聞いてみる。

「シルビア、聞いてもいいか?」

「なんだ?」

「シルビアのレベルって、どれくらいなんだ? いや、答えたくなければ答えなくていい」

シルビアは嫌がるでもなく答えてくれた。

「私は、レベル30だ」


「そうか、ありがとう」

俺のレベルも言った方がいいよな?

俺はシルビアの近くへ行って、耳元でささやく。

「俺のレベルって言った方がいいのか?」

シルビアはどちらでもと言ってくれる。

だが、シルビアは嫌がらずに言ってくれた。

俺も言ってみることにする。

「シルビア、誰にも言わないでくれよな。 俺のレベルは37なんだ」

!!

「テ、テツ・・この星の住人って、そんなに強いのか?」

俺は慌てて否定した。

「い、いや、違う。 俺の場合、特別運がよかったんだ。 それだけだから、本当に誰にも言わないでくれよ」

シルビアはうなずいてくれる。

「わかった。 我が精霊に誓って約束を守ろう」

いやいやシルビアさん、それは重すぎるんですけど。


颯の方を見ると、ワイバーンが羽ばたいて飛んでいた。

生まれてすぐに飛べるんだな。

さすが、魔物だ。

「颯、名前は何にしたんだ?」

颯はいつもすぐに名前を思いつくから、俺は聞いてみた。


「うん、まだ決めてないんだけど、ワイバーンだよね・・この魔物」

俺はうなずく。

「結構賢いみたいなんだ。 だから、少し相談して決めてみるよ」

「そ、相談? そうか・・」

ワイバーンって賢いのか?

俺は少し驚いた。

レベルが高いとそうなるのかな?

それともユニーク個体なのか?

ま、颯が喜んでいるのが何よりだ。

そっとしておこう。


さて、シルビアをフレイアに会わせなきゃ。

俺はそう思い1階へ移動。

どうやら、俺たちのことをみんな気にすることはないようだ。

颯のテイムした魔物と遊ぶのが楽しそうだ。

もはや、何でもアリって感じだな。


優だけがついてきた。

やっぱ、男としてはエルフは気になるよな。

ボディラインはばっちりだしな!!

1階のリビングへ入ってみると、ばあちゃんとフレイアが一緒にお茶を飲んでいた。

よく飲むなぁ。


「あ、テツ、おかえり~」

フレイアが声をかけてくれる。

こういった一言って、ありがたいよな。

だが、嫁と来たら・・俺は軽く頭を振る。

俺がこだわっている証拠だ。

何かを期待するから気になるんだ。

初めから無いものとして扱っていれば、気にもならないはずなのに。

・・・

わかっているんだ。

だが、それを乗り越えれないところが、俺が弱いのだろう。


さて、フレイアの顔を見て気持ちを切り替える。

「ただいま~。

フレイア、お茶が気に入ったのかな?」

「ええ、とってもおいしいわね」

「そっか・・後、フレイアに会いたい人を連れて来たぞ」

俺がそういうと、後ろからシルビアが現れた。

!!

「シルビアじゃないか! そうか・・転移してきたのだな。 良かった・・」

フレイアはとても喜んでいた。


「ああ、先ほどな。 転移して魔素の大きな反応の方へ移動していたら、テツと出会ってな・・」

シルビアがにっこりとしながら言う。

さて、二人で積もる話もあるだろう。

ここは、ばあちゃんに任せて大丈夫だな。

優は二人のエルフを見つめている。

そっか、じゃあ優に頼んでおこう。

「優、二人を頼むぞ」

そう言って俺はじいちゃんの作業場(畳の部屋)へ移動した。


じいちゃんが俺の方をジロッと見る。

「テツ、さっき言われてた、優の刀・・お前のと同じような感じにしたぞ」

そう言って俺に手渡してくれた。

確かに、自分のじゃないとかなり重いな。


鑑定をしてみる。

☆は俺のと同じ3つ付いている。

名称:未設定。

☆優専用武器。

☆使用者とともに成長可。

☆絶対切断。


凄すぎる。

凄すぎるぞ、じいちゃん。

なるほど、俺と同じ仕様か。

「じいちゃん、ありがとう。 それよりも疲れてない?」

じいちゃんは首を横に振る。

「そう? まだ何か作れそう?」

俺がそう言うと、じいちゃんはこちらを見る。

大丈夫そうだな。

「じいちゃん、それなら防具とかもお願いしたいんだが、いいかな?」

俺は少し気が引けたが、じいちゃんはやる気みたいだ。


「防具といっても鎧とかじゃないんだ。 動きにくいだろ。 ベストというか、そういった動きやすい服みたいなものにして欲しいんだ」

俺がイメージを伝えようとすると、じいちゃんが聞いてくる。

「・・どんな感じだ?」

やっとしゃべったな、じいちゃん。

「うん、服のようなといっても、きちんと防御力があるのでないと困るしね。 後は、リストバンドみたいなのもあればいいんじゃないかな?」

俺はそう言っているうちに、段々といろんな案が浮かんできた。


「小物みたいだけど、魔法を付与したのがいいんじゃないかと思う。 例えば、じいちゃんが考えれる限りのもので、切れにくいものとか、燃えにくいものとか・・付与できる限りでいろんな能力をつけて欲しいんだ」

「具体的なイメージはないか」

じいちゃんはそういうので、俺は遠慮なく言わせてもらった。

・・・・

・・・

「外せないのは、魔法を跳ね返したり・・いや、これは困るか。 回復魔法も跳ね返されたら意味ないしな。 こちらの能力を向上させるリストバンドとか、攻撃魔法だけを無効化するとか・・そんな感じの身に着けるものを作ってもらえないだろうか。 大丈夫かな?」

少し欲を言い過ぎたかもしれないな。

しかし、じいちゃんのレベルも結構なものだし、錬金術士だしな。

お願いしてもいいだろうと俺は思う。


「あ、魔石は結構あるから置いておくね」

「・・・・」

俺の並べた魔石を見ながら、じいちゃんは早速取り掛かってくれた。

じいちゃん、神がかってきたよな。

そして、完全に職人じゃないか。

俺は作業の邪魔にならないように端によって横になる。

カーン!

キーン!

・・・・

・・・

相変わらずいい音するなぁ。

ん?

以前よりも澄んだ音のような気がするが・・気のせいか?

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