第91話 優の上位職か・・
嘘は言ってない。
俺は本当に直感で選んだ。
「そうか、直感ねぇ・・」
優はそうつぶやくと考えている。
俺は辺りを索敵してみるが、レベルの高い魔物はいない。
優、ゆっくり考えてくれ。
そう思いつつも、帰ったらじいちゃんとばあちゃんの職も考えないといけないなと思ったりもした。
「おやじさん・・俺の上位職の名称を聞いて感覚的にどんな感じがする?」
優がそれとなく聞いてくる。
なるほど・・どんな感覚か。
「そうだなぁ・・レーンジャーは忍者系の匂いがするし、コマンダーはマッチョなイメージがする」
俺は思うままに答えた。
俺の言葉を聞きながら、優はしばらく考えていたようだ。
一人でうなずき、ステータス画面をタッチ。
よし!
と言って、俺の方に顔を向ける。
「おやじさん・・俺、レーンジャーにしてみるよ」
そういうと、転職したようだ。
優はまだステータス画面を見つめている。
「どうしたんだ? 優・・」
俺は声をかけた。
「おっさん、スキルにアイテムボックス小ってあるよ」
マジですか。
優はすぐにアイテムボックスを練習していた。
俺のを見ていたので、感覚的にわかったのだろう。
魔石を入れたり出したりしている。
「これって、どれくらい入るんだろう・・でも、小だからなぁ」
独り言とも思えるし、俺に聞いているとも思える。
「よかったじゃないか、優。 アイテムボックスが使えると移動が便利だよ」
もっといい言葉がないものかと俺も思ったが、ない。
時間もそれほど経過してないので、もう少し狩れるだろうと思うが危険は避けたい。
とはいえレベル30超えが2人いる。
そうそうは負けはしないだろう。
しかし、都心部へは向かいたくはない。
怖いからな。
俺の頭の中でいろいろと考えが駆け巡る。
行ったとして、レベルの高い魔物に目をつけられたら、たまったものじゃない。
時間は6時30分頃だ。
近くには索敵でひっかかる、レベルの高い魔物はいない。
人の気配もない・・本当に全滅したのだろうか?
ここって、凄い人数いたと思うけど。
そんなことを思いながら、魔物を索敵していた。
!!
人だ、人が見える!
ビルの間や家の前、車の近くなどに人らしき姿を発見。
だが、近づいてみると人の形をした石像だった。
・・・
なるほど、静かなはずだ。
石化させられたわけだ。
俺たちは石像に近づきつつ、優に話してみた。
「優、これってなんだと思う?」
優もあまりにも出来過ぎてる石像に驚きを隠せない。
無論、壊れてるのもたくさんある。
「よくできてるね。 ここの街って、こんな石像が流行ってる街だったのかな?」
優が石像を見ながら答える。
・・・・
「優・・これって、人が石化したものだよ」
俺がそう答えると優は固まっていた。
「マジかよ・・」
優はつぶやきながら石像に触れるのをやめた。
「マジだ。 魔物の中に相手を石化させるやつがいる。 俺がアニム王に会いに行った時に、そういった魔物がいたんだ」
優は言葉を失っている。
俺が石像を見ながら説明しようとすると、都合よく索敵にひっかかる。
ピ!
石化の能力を持った魔物、バジリスク:レベル31。
他には・・いないな。
人が少なくなってきたからなのか、それとも他に移動してるのかわからないが、レベルの高い魔物がかたまっていない。
厚木基地のところでは、結構かたまっていたのだが。
俺はそんなことを思いながら声を掛ける。
「優、来てるぞ」
「うん」
優もわかってるようだ。
「こいつは大きなトカゲって感じでバジリスクってやつだが、石化の能力を持っている」
そして続けて言った。
「石化させるのに、2秒ほど凝視しなきゃいけないみたいだから、動き回っていれば大丈夫だぞ」
優はうなずく。
!!
その時に見えてしまった。
バジリスクが石化した人間や魔物を食べていた。
・・・
なるほど。
こいつら石化させて食べてるんだな。
怖ぇぇ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます