第89話 優、良かったな!
「優、わかると思うがオーガが4体いる。 俺が動けないようにするから、止めをすれば・・ってお前、そういやぁ急所がわかるんだったよな?」
俺はそう言いながら思い出した。
こいつハンタースキルなんてものを持っていたな。
「うん。 目の前で見てないから何とも言えないけど、たぶんわかると思うよ。 でも、おやじさん、レベル16のオークとかガーゴイルってのがいるんだけど・・」
「ああ、それか。 俺がすぐに片づけるから問題ない」
俺はそう言うと速攻仕掛ける。
ハエを追い払う感じになっていた。
空中でも、ガーゴイルを土台に移動しながら倒す。
ドン、ドドドド・・・・。
バタバタと魔物が落ちてくる。
下ではオークとガーゴイルの残骸ばかり。
全部で30体くらいになっただろうか。
ばあちゃんとじいちゃんは、これでレベル上がっただろうな。
全部の魔物が蒸発して魔石に変わったころ、オーガがそれぞれの場所から迫って来た。
普通なら包囲される感じだ。
俺は平然と魔石を回収しながら、アイテムボックスに放り込む。
優はその場で俺を凝視していた。
「ん? どうしたんだ、優」
「おやじさん、引くわ!!」
俺は普通にしていただけだが、優には衝撃だったようだ。
そりゃそうか。
俺がアニム王を見ている感じだろうな。
さて、オーガが来た。
俺は別に気にするでもなく、作業のごとく4体まとめて両手を切り落とす。
だが、1体だけ叫ぼうとするのでそのまま倒してしまった。
「優、すまん! 叫ばれるので1体倒してしまった。 で、急所がわかるか?」
優が明らかに引いている。
「う、うん・・お腹と首の辺りが弱点みたいだよ」
「そうか・・じゃあ優、どれでもやってみな!」
まぁ、1体でも狩れば結構な経験値になるだろう。
オーガがまだ動こうとするので、残り3体のオーガの足も切りつけた。
これで動けないだろう。
もはや優は何もいわない。
優がそのまま1体に向かって刀を突きだす。
お腹を1度突き刺し、オーガの横へ回る。
オーガはお腹を押さえようとするが、手がない。
前のめりになったところを、優に首を落とされた。
残り2体も同じように優に倒される。
・・・
なんかあっけないな。
俺は魔石を回収。
優はステータス画面を確認しているようだ。
その顔がだんだんと緩んできて、ニヤ~としたのを俺は見逃さなかった。
すぐに普通の表情・・でもないな、うれしそうな顔になって俺に近づいてくる。
「おやじさん、ありがとう! レベル上がったよ、20になったよ! 信じられないくらい頭の中に天の声が鳴り響いたし・・マジかよ、ほんとに・・信じられないな・・」
優は本当にうれしそうにウロウロしていた。
良かったな本当に。
「そうか・・やったな」
俺も一緒に喜んだ。
昨日の顔が嘘みたいだ。
この調子なら少し中心部へ近づいても問題ないだろう。
せめてレベル30辺りまでは行きたい。
俺はそう思った。
ガーゴイルがいるが、レベル16くらいだな。
忍び足と忍術スキルで問題なく通過できるだろう。
垂水方面から布施畑の方へ行ってみようと俺は考えた。
ゆっくり移動だな。
やはり人の気配は感じない。
どこかにいるのだろうが、わからないな。
ん?
いた、魔物だ。
トロウル:レベル28が3体。
ゴーレム:レベル31が1体。
この辺りでの高位レベルだな。
そんなことを思いながら俺は辺りを見渡す。
ガーゴイルとオーガがうっとうしいな。
・・
魔物って、レベルが高いとワーウルフみたいに徒党を組まないのか?
というか、腕が落とされてもくっつけようとするし・・レベルが高いだけで、バカなのだろうか?
優にトロウルとゴーレムがいることを伝えた。
優もわかってたようだが、そのレベル差で緊張していたようだ。
「優、ガーゴイルやオーガはもう敵じゃないと思う。 だが、油断はできない」
そして続ける。
「まずは、トロウルから倒そうと思う。 こいつらパワーは凄まじいが、動きが遅い。 それにゴーレムは核を破壊しないと再生するからな」
優は驚いたようだ。
「そう、再生だ。 腕を落としても、足を落としても、バラバラにしても再生する。 俺は頭をめった突きにしたら、核を壊せたみたいで何とかなったが・・さ、行くか」
トロウルの近くに来た。
まだ気づかれてないようだ。
だが、1体でも倒すとたちまち気づかれるだろう。
最悪、ガーゴイルやオーガに囲まれるかもしれない。
「大丈夫か? 優」
俺の声に反応しつつ、優はうなずく。
緊張してるな・・ま、当然か。
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